第258話 プリンお姉ちゃんも100ポイントに!

 何だかんだで特攻隊長レオナの手に渡った金属バットだったけど、それほど重くない理由はバットの中がスカスカなせいだってことを教えておいた。


 その辺の岩や木を殴って武器の耐久性をテストしたら、思い切り殴った時に金属バットが曲がったりしたけど、それでも一瞬で修理出来るから十分使えるらしい。


 それはそうと、レオナねえが耐久力テストをしている間に、プリンお姉ちゃんからちょっと気になる話を聞いた。


 彼女の戦闘スタイルの切り替えについてなんだけど、両手剣で戦う時はその辺の原っぱに盾を放り出したまま戦うらしいのです。


 でも騎士団に所属していた頃、それで何回か盾を無くしているらしいので、この際だから専属ハムちゃんをプレゼントすることにしました!


 もう余裕で『クーヤちゃん仲良しポイント』が100を超えてたんだけど、ずっと一緒に行動してたからあまり必要無かっただけなんだよね。


 冒険者稼業に復帰するなら、服や装備品を運んだり、狩った獲物を持ち運べるハムちゃんの存在は、間違いなく彼女の助けとなってくれるハズです!



「テケテケテケ、テッテンテーーーーーン!」



 突然クエクエのレベルアップ音を口走ったので、全員がショタに注目した。



「クーヤちゃん仲良しポイントが100たまったので、プリンお姉ちゃんには、専属のハムちゃんが貸し出されます!」


「・・・え?」

「おーーーーー!久々の100ポイント達成だ!」

「良かったな!ハムちゃんがいるとすげー便利だぞ~」

「おめでとーーーーー!問題はどんなハムちゃんを選択するかだね!」

「やっぱり冒険者なら性能が第一かな?」



 突然のポイント達成に困惑しているプリンお姉ちゃんに、ハムちゃんの説明書を見せながら、他の人がどんな子を選んだかなど詳しく話した。


 説明書ってのはもちろん、使用魔法と容量が書いてある表のことだ。

 強力な魔法持ちの子は容量が少ない傾向なので、結構重要なことなのです。


 そして最後にハムちゃんを大量に召喚し、見た目の可愛さを加えた全ての要素から判断し、『これだ!』という1体を選んでもらう。



「この子に決めました!」



 かなり迷ったみたいだけど、最終的にプリンお姉ちゃんが選んだハムちゃんは、白いボディーに青と水色の模様が入ったハムちゃんだった。


 お母さんの専属ハムちゃんと一緒で、収納が【2】あって氷魔法を使うハムちゃんなんだけど、青系が好きなので結構見た目を重視して選んだのかもですね~。



「治癒魔法の子にするか悩んだのですが、冒険者として何に苦労してきたかを考えたところ、持てる容量の大きさが最重要だと判断しました。あとはやっぱり見た目の可愛らしさですね!氷魔法での援護も期待出来そうです!」


 それを聞いた全員がウンウン頷いた。


「治癒魔法が欲しい気持ちはすげー分かるぜ!でもクーヤと一緒なら怪我をしても治療してもらえるし、アタシらも治癒魔法や毒消し魔法が使えるハムちゃんを連れて歩いてるからな。どちらかと一緒に行動すりゃ全く問題ねえ!」

「装備品や寝具なんかも全部預けておけるから、本当に楽ちんだよ!」

「そうだね~。水と食料が沢山あれば安心だし、やっぱり狩った獲物を丸ごと持ち帰れるのが1番嬉しいかも!」


 現役冒険者の体験談を聞くと、たしかに納得のいく話ばかりだ。

 プリンお姉ちゃんもウンウン頷いている。


 専属ハムちゃんとなった青+水色模様ハムちゃんの頭を撫でていた彼女だったが、ボクに向かって深々と頭を下げた。


「こんなに可愛いハムちゃんを専属に付けて頂き、本当に有難う御座います!」

「可愛がってあげてね!」

「はい!もちろんです!」



 というわけで、これで完璧に出発の準備が整いました!


 6体のグリフォンを召喚し、みんなで鞍を装着していく。

 当然ながら、ショタの鞍はレオナねえがセットしてくれました。


 もう何度も練習しているので慣れたモノです。



「じゃあ、グルミーダの森を目指して出発だ!」


「「オーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」



 バサッ バサッ バサッ バサッ バサッ バサッ




 ―――――6体のグリフォンが大空へと舞い上がった。






 ************************************************************






 バサバサバサバサッ!



 冒険者ギルドで写してきた地図を見ていたレオナねえが『たぶんこの辺りだ!』と言ったので、森のすぐ手前に着陸した。


 目覚まし時計を見ると、飛び立ってから大体1時間ほどが経過していた。


 障害物の無い空をかなりの速度で飛んで1時間だから、結構遠くまで来たんじゃないかな?トナカイなら3時間以上かかってもおかしくない距離だと思う。


 適当に言ってるだけだから全然違うかもだけど、やっぱグリフォンって凄いね!

 ドラちゃんはもっと凄いけど、人に見られたら大事件だから気軽に使えないのだ。



「さて、森に入ってみるとするか」

「あ、ちょっと待って下さい。上です!」


 空を見上げるとデカい鳥が飛んでいた。


「アレは『レンクルミアトン』だな」

「折角だからハムちゃんに撃ち落としてもらえば?」

「そういえば氷魔法が使えるんだよね?」

「なるほど!私もとうとう遠距離攻撃が出来るようになったのですね!」


 プリンお姉ちゃんが、専属の『屈しないハムちゃん』に指示を出した。


「えーとハムちゃん、あの鳥を撃ち落とすのは可能ですか?」


『チュウ!』



 空を見上げた『屈しないハムちゃん』が、氷の塊を飛ばした。



 ターーーーーン!



 ドサッ



「はやっ!!」



 タタタタタッ



 落下した『レンクルミアトン』に駆け寄ると、どうやら見事なヘッドショットが炸裂したようで、完全に息絶えていた。



「・・・・・・強すぎないですか?」

「クーヤの召喚獣って魔法の威力がちょっとおかしいからな~。まあでも今のは上手いこと不意打ちが決まった感じだから、過信はしないことだ」

「クリスさんが、痴漢対策でハムちゃんを連れ回してるって聞いたけど・・・」

「うわ、痴漢の人全員死んでるんじゃ・・・」

「それくらいじゃ痴漢は屈しない」



 なにィ!タマねえに思考を読まれた!?


 しかし収納が【2】のハムちゃんでも、魔法の威力が結構やばかったですね。専属ハムちゃん全員に、人間に攻撃する時は少し手加減するよう言っといた方がいいのかもしれないな~。



「わわっ!ハムちゃんがペロリと食べちゃいましたけど・・・」

「アレはただの癖だから大丈夫だ。食べてるように見えるだけで、ちゃんと頬袋に収納されているハズだぞ」

「気にしたら負けだよ!」

「見慣れると可愛い仕草なんだけどね~!」

「うん、かわいい」


 ホント謎の生き物だよね~。



「よーし、そろそろ森に入るぞ!」


「「アイアイサーーー!」」



 いよいよ『グルミーダの森』に突撃だーーーーー!

 見たことのない可愛い魔物がいるといいな~。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る