第253話 お姉ちゃんズが完全装備に!

 新しい服に着替えたレオナねえ達と一緒にシェミールの外に出た。


 次は防具屋でみんなの装備品を受け取り、それを装備してから貧民街スラムに向かい、悪そうなお兄さんに死神コートを届ければミションクリアだ。


 ということで全員分のトナカイを出そうと思ったら、通行人達にガン見されてることに気が付いた。



「うはっ!お姉ちゃん達メッチャ見られてるよ!」



 実はあの後プリンお姉ちゃんもドレスアーマーに着替えたので、ただでさえ注目を浴びそうな状態だったのに、さらに派手な一行となってしまったのです。



「ふははははは!シェミールで売ってる服もオシャレだけど、今日手に入れた服は方向性が全然違うからな!」

「私のは防具と組み合わせなきゃただの可愛い系の服だから、たぶんシェミールの新作の服と思われるくらいだろうけど、この三人はちょっと目立つよね~」

「そ、そんなに目立つかなあ?コレ」

「女神過ぎるので、魔法系クラスの憧れの服装になると思います!」

「ナナの白いローブはともかく、アタシの服とプリンアラートのドレスアーマーは、似たような服すら存在しないからな!」

「初めてこの服で街に来ましたけど、こう注目されると少し恥ずかしいですね」


 そんな会話をしてるけど、みんな顔がニヤけてますよ?

 待ちに待った服を手に入れた直後だから、楽しくてしょうがないって感じです!


 全員分のトナカイを出した。


「さっき悪そうなお兄さんに服が出来たって伝えたので、もうすでに待ってるかもしれないから急ごうよ!」

「おっと!一旦西区に行って今度は東区だから遊んでる暇はねえな!」

「ガイアさんも待ってるだろうからね~!」



 トナカイに跨ってさらに注目度が高まった一行が、少し急ぎめで防具屋さんを目指して出発した。






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 ガチャッ! チリンチリーン



「ブロディのおっちゃん!防具は出来てるか?」



 ドアを開けた直後に名前を呼ばれたブロディさんが、コチラを向いて固まった。

 前回来た時と全然服装が違うんだから、そりゃー驚くよね!


「何なんだその服は!!お前ら、今までとまるで雰囲気が違うじゃないか!」


「オシャレ装備ってのは、防具を格好良くするだけじゃねえんだぜ?」

「改造してもらった装備品を、この服に組み合わせることで完成なの!」

「私はもう完成してるけどね」


 カウンターの前まで移動した。


「そっちのお嬢ちゃんの装備が凄いな!!どう見てもこれは完全体だろう?」

「はい!これはドレスアーマーです。今日は青いドレスを着ていますが、他に赤いドレスと黒いドレスもあるんですよ!」

「なるほど!しかしレオナの服にはたまげたな。全身真っ黒で現れるとは・・・」

「甘いな?」


 レオナねえがクルっと後ろを向き、背中の炎と逆十字を見せた。


「炎柄かよ!!」

「全身真っ黒だからこそ目立つだろ?」

「確かに。ただ女性っぽさが完全に消え去ったな」

「そこであの防具が光るんだよ!」

「ああっ!なるほど!!」



 そう言った後、ブロディさんが店の奥に入っていった。

 たぶんみんなの装備品を取りに行ったんだと思う。



 ガシャン



 戻って来たブロディさんは頼まれていた防具を両手に抱えていた。

 注文した防具がカウンターの上にどんどん並べられていく。



「どうだ!時間があったから出来るだけ丁寧に仕上げといたぞ!」


「スゲーーー、完璧じゃん!色もだけど、金枠が超カッコイイ!!」

「うわ~~~~~~~~~~!白に金枠だとこんな感じになるんだ!?」

「おおーーーーー!タマの胸当てが豪華になってる!!」


 ブロディさんグッジョブ!思い描いてた以上のド迫力です!!


「一応向こうに試着室があるけど、面倒だからココで装備するぞ!」

「みんな服の上から着けるだけだしね~」

「黒ポンチョは脱ぐ」

「あ、そっか!タマちゃんは黒ポンチョの中に着るんだったね」



 タマねえの黒ポンチョを預かると、みんなその場で防具を装着し始めた。

 服の着替えと違って脱がないから、ブロディさんの目は気にならないらしい。


 防具に慣れてないタマねえだけプリンお姉ちゃんに手伝ってもらいつつも、そう時間が掛かることなく、全員が生まれ変わった防具を装備した。



 まずはレオナねえだけど、やっぱり黒い服に赤い鉄のビキニは相性が良く、しかも金枠効果でやたらと高級品に見えるのだ。アームガードを脇役にしたので、なおさら赤いビキニが目立ってます!



「思ってた以上に圧巻だな!それとレオナが少し女性らしくなった」


「少しって何だよ!でも色を塗っただけでこうも変わるとはな・・・」

「赤に金枠も格好良いでしょ?」

「実際に見てみると、昨日まで想像してたより何倍も格好良いぜ!」



 アイリスお姉ちゃんを見てみると、革の鎧の胸部分だけが金枠の付いた白い鉄のビキニに改造されていて、それだけが浮いて見えるようなこともなく、黄緑服の服にもバッチリ合っていた。


 ブロディさんの腕も大したもんです!



「アイリスの新しい鎧って、単体でもすごく格好良くない?服の色とも合ってるから、調和された美しさって言うのかな?全然可愛い服の邪魔をしてないの!」

「ホント!?自分でも白い金枠ビキニがカッコイイなーって思ってたんだけど、服と合ってるかだけ不安だったんだ!」

「向こうの鏡で見てみなよ。もうね、ほんっっっとうに可愛いから!」

「見る!!」



 アイリスお姉ちゃんが走っていっちゃったので、次はタマねえを見てみる。


 今日は白いワンピースを着ていたらしく、プリンお姉ちゃんに手伝ってもらって黒い胸当てを装備したところなんだけど、黒い胸当てに金でデザインしたのが大正義すぎて、可愛いのにやたらと強そうな感じですな!



「胸当てを選んだ時は特別な印象が無かったのですが、色を塗っただけで凄く豪華な胸当てになりましたね!白いワンピースに合ってるかはよく分かりませんけど、その黒い革の手袋と合わさって、とにかく凄く強そうです!」

「うん、たぶん今日の服とは合ってない。格好良い胸当てと黒の手袋で無理矢理強そうな見た目になった感じがする!」

「不思議な感じですよね!でもそういうのも面白いと思いますよ!」

「この黒い胸当ても黒い手袋もすごく好き。大満足!」



 流石は黒ポンチョアーマーだ。

 タマねえは謎の威圧感を手に入れてしまったみたいですね。


 とにかく全員新しいスタイルに満足そうで本当に良かった!

 頑張ってデザインした甲斐があったってものです。



「ハイハイみなさーん!悪そうなお兄さんが貧民街スラム入り口で待ってると思いますので、そろそろ出発しますぞーーーーー!」


「おっとそうだった!とっとと会計を済ますぞ!」

「はいは~い」

「絶対ドキドキしながらコートの到着を待ってるよ!」

「皆さんの服装を見たら、ガイアさん腰を抜かすかもしれませんね!」

「タマはこのままの格好で行くから、黒ポンチョは一旦消しといて」

「アイアイサーーー!」



 そして騒がしくも華やかなお姉ちゃんズは感謝を伝えながら支払いを済ませ、嬉しそうな彼女達を見るブロディさんも、来たる新時代に向けて闘志を漲らせていた。

 

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