第250話 ホニャ毛

 タマねえとプリンお姉ちゃんの冒険者登録をするため、冒険者ギルドまでやって来たクーヤちゃん一行。


 ハゲヅラと鼻メガネを着用し、あわよくば自分も登録出来ないものかと奮闘したものの、不意に出た77歳という年齢ですら年齢制限に引っ掛かり登録を断念。


 することが無くなったので、変装を解除してギルド内をフラフラしていると、おそらく依頼を達成して帰還した4人組の女性チームに捕まってしまいました。


 そしてぺろぺろされること10分、ようやく異変に気付いたレオナねえが、ショタを助けに来てくれました!



「おいコラ、それはアタシんだぞ!クーヤを返せ!!」



 突然ショタの持ち主だという女が現れ、女性4人組が振り返った。



「何だレオナかよ。これはオレが拾ったんだ!」

「いやいやいや!普通にギルド内を見学してたのを捕まえただけだろ!」

「仮にレオナが先に見つけたのだとしても、勝手にフラフラ歩いてたってことは手放したってことよね?」

「じゃあ所有権が移動してもしょうがないよ!」

「諦めて家に帰りなさいな」


 普通にボーっと立ってたら捕まっただけなのに、拾ったとか言ってるし!


「ふざけんな!クーヤはアタシの弟だ。勝手に拾うな!!」


「「な、なんだってーーーーーーーーーー!?」」



 女性4人組が、レオナねえとクーやちゃんを交互に見比べている。



「確かにどっちも金髪だし、似てなくはないな・・・」

「こんな可愛い弟がいるなんて初めて聞いたし!!」

「嘘!?レオナの弟なの!?」

「ずるい!私もこの可愛いのが欲しい!!」


 ピンク色の髪をした小柄な女性にギュッと抱き寄せられる。

 その拍子に可愛らしいアホ毛が揺れた。


「いや、『ホニャ毛』の可愛い枠は、もうすでにロコで埋まってるだろ!」


 ・・・ホニャ毛?


「レオナねえに質問!『ホニャ毛』って何?」

「ん?ああ、その4人組のチーム名だ」


 はあ??チーム名が『ホニャ毛』なの?

 そんなアホっぽい名前で、みんな納得しているのだろうか?


「コレを見ろ!」


 アマゾネスみたいな女性が指差したのは、ピンク頭に生えているアホ毛だった。


「リーダーの頭に、ホニャ毛があるだろ?」

「それでチーム名が『ホニャ毛』になったらしいぞ!」

「にゃはははは!何それーーーーーーーーーー!!」


 この世界では『アホ毛』のことを『ホニャ毛』と呼ぶのか!

 すげーウケる!!めっちゃエエやん!!


「え?ピンクのお姉ちゃんがリーダーなの?」

「こう見えてロコは、凄腕の『精霊使いエレメンタラー』なんだぜ?他の3人もAランクの手練れ揃いだ」

「へーーーーーーーーーー!レオナねえ達のライバル的な!?」


 それを聞き、長い紫色の髪をした綺麗で切れ味鋭い感じの女性が口を開いた。


「ライバルとは少し違うわね。『もふもふ隊』もウチと同じ女性だけのチームだから、男性チームに負けないよう、お互い切磋琢磨している関係かしら?」

「もふもふ隊じゃなくて『突撃もふもふ隊』だ!」

「長いのよ!!」

「何それ!?もしかしてレオナねえ達のチーム名?」

「言ってなかったか?」

「初めて聞いたよ?でもとても良い名前です!『ホニャ毛』に全然負けてません!」


 レオナねえ達も、なかないいセンスしてますね!変に格好つけすぎると黒歴史になり兼ねないから、チーム名は先の先までよく考えて付けなきゃダメなのです。


 ただどっちの名前も、めっちゃ弱そうではあるけど!


「申請してきた」

「30分ほどかかるようなので、もう少しだけ待っていて下さい」


 タマねえとプリンお姉ちゃんの登録申請が終わったみたいだ。


「ん?初めて見る顔だな?」

「ああ、黒い方はウチの隣の家に住んでる子で、今年小学校を卒業したばかりだ。んでこっちの銀髪はセルパト連邦のAランク冒険者で、最近この街にやって来たんだ」

「タマです」

「プリンアラートです」

「へーーーーー!セルパト連邦のAランク冒険者なのか!」

「そんな強い人がこの街に来たんだ!?わたしはロコ!よろしくね」

「ああ、オレはリズリアスト。仲間からはリズと呼ばれている」

「シーラです」

「ミルクルーナです。よろしく!」



 うおぉ~、いきなり4人分の名前が!!


 えーと、ピンクのホニャ毛が『ロコ姉ちゃん』、茶髪で筋骨隆々のアマゾネスみたいな人が『リズお姉ちゃん』、紫の髪をした美人が『シーラお姉ちゃん』、ローブを着た黄緑色の髪の女性が『ミルクお姉ちゃん』ね。


 ホニャ毛の4人がボクを見た。

 あ、そういやボクだけ自己紹介してなかった!



「最近、この街で一番の紳士と噂されている、クーヤです!」


「そういえばレオナが、クーヤと呼んでいたな」

「なんで紳士を強調したんだろ?」

「背伸びしてて可愛いじゃない!」

「やっぱりアレ欲しいんですけど~」

「だから、やらねえって言ってるだろ!ところでカウンターに行かなくていいんかよ?ギルドが混んでからじゃ時間が掛かるぞ?」

「忘れてた!」

「そうだった!急げーーーーー!!」



 ワーワー大騒ぎしながら、ホニャ毛の4人組はカウンターの方へ走って行った。

 レオナねえ達もだけど、彼女達もギルドのムードメーカー的存在っぽいな。


 そしてタマねえとプリンお姉ちゃんの名前が呼ばれ、タマねえの年齢も13歳と判明したようで、二人の冒険者登録が無事に終わった。


 意気揚々とギルドに乗り込んで来たボクだけ冒険者になれなかったけど、こればっかりはしょうがありませんね~。


 この街で目立ちたくはないので、いつかミミリア王国の他の街にでも行って、そこで大物の魔物を手土産に冒険者を目指すとしますか~。




  ◇◇◇




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