第245話 防具屋へGO

 とりあえずナナお姉ちゃんの服は決定しました!

 でも、レオナねえはまだアイリスお姉ちゃんの服装に満足していない様子。



「服はバッチリなんだけどさ、この際だから革の鎧も少しいじりたいとこだな」



 みんな喜んでたから決定かと思ったのに、どうやらレオナねえには気になる部分があったようだ。



「革の鎧も!?アレすごく気に入ってるんだけど・・・」

「実はアタシの防具もさ、服に合わせて少し改造する予定なんだ」

「どんな風に?」

「赤く塗る」

「へーーーーー!でもそれだけ?」

「いや、真っ赤に塗るだけじゃ物足りないか!ココまできたら、もう一段階格好良くしたいところだな~」


 助言を求めてレオナねえがこっちを見た。


「たぶん金色で縁取れば格好良くなるよ?あっ、縁取る感じで金色の金具を巻いた方がもっとオシャレかも?」

「赤を金で縁取る・・・、そんなん絶対カッコイイに決まってるだろ!!」

「クーヤちゃんが凄すぎるんですけど!」

「アイリスの革の鎧も、クーヤちゃんに考えてもらうといいんじゃない!?」


 アイリスお姉ちゃんがこっちを見た。


「革本来の色にこだわる必要もないし、もう色塗っちゃえば?黄緑色の服に合いそうなのは、純白とか、もしくは白と濃い緑の組み合わせかな?」

「ムムムムム・・・、革って綺麗に着色出来るの?」

「たぶん色を塗ることは可能な気がするけど、使ってるうちにひび割れたり剥げたりしそうだよな」

「一部分でも剝がれちゃうと、逆に格好悪くなるかも・・・」


 確かに革の黒い財布とか、使ってるうちに色が剥げた思い出がある。

 装備品のことなんて何も知らんくせに、適当なこと言わん方がいいのかも。


「革って意外とオシャレするのが難しいんだね・・・」

「いや待てよ?胸の部分だけ鉄にすりゃいいんじゃね?重くならない程度に」

「あっ、いいかも!防御力も上がるし!」

「なるほど~!色は白が可愛い気がする!!」

「白を金で縁取るのもカッコイイんだよ~」

「アタシとお揃いだ!それでいってみようぜ!!」


 そっか、すべてを革で統一する必要なんて無いもんな。

 冒険者なら装備品にも詳しいから、改造も可能だと判断したのだろう。



 みんなで話し合いながら、アイリスお姉ちゃんの装備を描き直した。


 半ズボンバージョンの方も描いてみたら、それもボーイッシュで可愛いとの高評価を得て、両方とも注文することになった。



「完璧だろ!」

「もうすでにワクワクが止まらない!」

「服が出来上がるまでに装備品を改造しなきゃだね」

「んじゃ明日にでも防具屋へ行くぞ!」


 装備品を売ってる店って、今まで一度も行ったことないんだよな~。

 これはもう、ついて行くしかないでしょう!


「あ、そうだ!せっかくだから一緒に行って、タマねえの防具も買おうよ!」

「黒ポンチョアーマー?」


「「ぷっ!!」」


「にゃははは!一応それで合ってるけど、近接戦闘をするならば、胸当てとかガントレットなんかは絶対必要だと思う」

「足を怪我したら動けなくなりますよ?グリーヴも装備した方がいいかと」

「重くて動けないと弱くなる」

「アタシやアイリスみたいな感じでいいんじゃね?適当に革のベルトを太ももとかに巻き付けるんだ。ブーツを履いてるから脛は大丈夫そうだしな」

「私は適当じゃないんですけど!!アレで結構防御力あるし?」

「それなら軽そうだから着けてもいい!」



 なるほど~!

 革のベルトを巻くだけでも、何も着けないよりはいいのかも。


 でもみんな軽装備だから、ボクとしては不安がいっぱいなんですけどね。

 プリンお姉ちゃんの防御力を下げたボクが言っても、説得力が皆無なんだけどさ。


 というわけで、とりあえず今日のところはシェミールに服の注文だけしに行って、装備品は明日買いに行くことになりました!


 もちろんボクはシェミールになんか行きませんよ?

 マダムの群れに掴まってぺろぺろされるのが目に見えてるし!!






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 その翌日。


 アイリスお姉ちゃんとナナお姉ちゃんがウチに到着するのを待ってから、レオナねえ達が贔屓にしている防具屋さんへと出発した。


 中央区に結構良い防具屋さんがあるらしいんだけど、細かい注文をする時は馴染みの店の方が融通が利くらしく、西区にある防具屋さんに行くことになった。


 品揃えも中央区の防具屋さんに全然負けてないらしいから、それなら近い方が便利で良いんじゃないでしょうか?



「よし、着いたぞーーー!」



 同じ西区でもパンダ工房の反対側に向かったので、一度も来たことが無い場所だったけど、大きな看板に盾の絵が描いてあったので、一目で防具屋さんだとわかった。



 ガチャッ! チリンチリーン



 入口のドアを開けるとベルが鳴った。

 古き良き時代って感じの懐かしい雰囲気ですな~。



「いらっしゃい!ってレオナじゃねえか!今日の連れはアイリスとナナだけじゃないんだな?・・・子供もいるようだが」

「ブロディのおっちゃん、客を連れて来てやったぞ!」

「お客さんなら歓迎だ!ゆっくり見ていってくれ」



 ・・・ちょっと待てや。


 今『ブロディ』って言ったよな?

 何で工房に来るたびに、プロレスラーみたいな人が出てくるんだよ!


 しかも当たり前のように、店主の見た目はマッチョで髭モジャだ。

 身長もライガーさんくらいデカいぞ!



「こいつを赤く塗って、周囲に金色の金具を巻き付けて欲しいんだ!」

「ん?その程度なら簡単に出来ると思うが、それに何の意味があるんだ?」

「オシャレ装備だよ!」

「何だそりゃ?」



 ふと我に返ると、レオナねえが鉄のビキニの改造を依頼していた。

 新たなるマッチョの登場に驚愕し、フリーズしてしまっていたみたいだ。


 そして他のみんなは、女性用の防具が置いてある方へ向かってるとこだったので、急いで追いかけていった。

 

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