第204話 香辛料を爆買いする
結局全員が冒険者カードを作ったので、『ローグザライア』を売ったお金をカードに入金してもらった。
みんなは100万ラドンしか受け取ってくれなかったので、ボクの所持金だけが500万ラドンという、とんでもないことになってるんですけどね!
でもカード決済が出来る店ってのは大きな店だけらしいので、結局みんな100万ラドンは持ち歩くことになった。
香辛料を爆買いする予定だし、みんなの家族のお土産はボクが買うってことになったので、とりあえず200万ラドンだけカードに入れておくことにした。
レオナねえに『絶対300万も使わねえだろ!』って言われたけど、衝動的に爆買いしたくなった時にいちいちカードからお金を引き出すのも面倒臭いし、お金をペカチョウに預けとけば盗まれる心配も無いのですよ。
ってことで『ペカチョウ預金するといいよ!』って言ったら、その安全性と利便性が認められ、全員がペカチョウにお金を預けた。
あと悪そうなお兄さんにも借金を返済したので、もう黒眼鏡に怯えてビクビクしながら生活しなくても大丈夫になりました!
冒険者ギルドを出たボク達一行は、ギルマスにオススメされたお店に向かう。
そこは本店が首都にある大きな商会らしく、香辛料を豊富に取り揃えているだけじゃなく、デパート規模の品揃えで色々な物が買えるらしい。
◇
「おお、中も結構広いな!首都に行けばもっと大きい店があるのかもしれんけど、大手の支店らしいから、ココで色々買いまくっても全然問題ねえぞ!」
「ハイ!ハイ!まずは香辛料が見たいであります!」
「香辛料か。確かに宿の料理は絶品だったし、俺も少し買ってくかな?」
「あのお肉は本当に美味しかったよね~」
「いいね!ミミリア王国に無いモノを狙って買おうよ」
「お金持ちだから買い放題!!」
大人達はともかく、タマねえは最近まで小学生だったからね~。
100万という大金を好きに使えるなんてのは、生まれて初めての経験だと思う。
っていうか、ボクだって初めてなんだけどさ!
「いらっしゃいませ~!香辛料はいかがですか?」
「全部買おう」
「・・・・・・・・・・・・」
そう言い切ったのが子供だったのもあり、店員のお姉さんが訝しんでいる。
「いや、えーと・・・、全部買うと50万ラドン近くかかってしまいますよ?」
「50万で買えるとは実に良心的ではないか。全部買おう」
「いや、ちょっと待てや!俺もさっき買うって言ったのに、目の前で全部買い占めようとすんじゃねえ!」
「いくら何でも全部はやり過ぎだ!どう考えたって使いきれねーだろ!」
「クーヤちゃんは、大金を持たせたらダメな人間だったーーーーー!」
「でもそこが可愛いんだよね~!」
「かわいいは正義。全て許される」
「・・・え?本当に全部買えるほどのお金持ちだったのですか!!」
でも確かに、唐辛子以外はそんなにあっても使い切れないか。
しょうがないから、10万ラドン分くらいにしておこう。
香辛料は冒険者にとっても必需品なので、結局全員が香辛料を買い漁った。悪そうなお兄さんも、組織へのお土産に最適だと5万ラドン分くらい購入していたぞ!
「いや、何でクーヤまで追加購入してるんだよ!?」
「これはパンダ工房へのお土産なのです。んでこっちは孤児院の分だよ」
「あ~、どっちも人がいっぱいだから絶対喜んでもらえるね!」
「私ももう少し買っておこうかな?次いつ来るかわからないもんね~」
修学旅行のお土産とかってさ、ぬいぐるみや飾るだけの工芸品なんかを買うのが一番無能だったりするのですよ。
落ち着いて冷静になった時に、『なんでこんな高いモノ買っちまったんだー!』ってなる確率が高い悪い例だ。
観光地に売ってるご当地お菓子なんてのも一瞬喜ばれるくらいだよね。そのくせ結構な値段がするから、限られたお小遣いじゃそれほどの量にならないし。
なので、お土産には珍しくも実用的なモノが一番良いと思うわけですよ。
その土地でしか買えないモノや、そこに行けば安く大量に買えるってモノを狙って大人買い。なんか大航海時代みたいやん!
あと、ハムちゃんに持たせれば劣化も最小限にできるから、すぐ腐るようなのを買っても大丈夫です!
とまあ、そういう考えを持ったパーフェクトクーヤちゃんが、100万ラドン分くらいお土産を買い漁りました。
おかげでハムちゃん数体が荷物でパンパンになったけどね!
「しかしクーヤの買い物って半端ねえな・・・」
「いや、俺は悪くないと思ったぞ?ミミリア王国で買えるようなモノはほとんど買ってなかったし、実用的な内容だから絶対無駄にはならない」
「これからずっとクーヤちゃんがお土産担当でいいかもね!」
「もう首都で買い物する必要ないかも?」
「タマもいっぱい買って大満足!」
「でもみんな結構色々買いまくってたよね?お土産なんてのは、自分が欲しいと思ったモノを必要以上に大人買いすればいいだけなのです!」
「おーーーーー!なかなかの名言だな!」
「良い考えだ。これは俺も参考にさせてもらおう!貰う方の気持ちになって考えるから面倒臭いんだ。自分が欲しい物を買えば悩むこともねえしな!」
ただ、男性には女性の気持ちがわからなかったりするので、お土産を使って女性を口説きたいならば、ちゃんと考えなきゃダメですよ?
とまあ、買い物が終わった一行は昨日の宿に戻って一泊した。
今日は色々あったけど、セルパト連邦で使えるお金も手に入れたし、冒険者にもなれたしで、本当に最高の一日でした!
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イルプシアの街の西門までやって来た。
門兵に首都の方角と聞くと、『道なりにずっと進めばいいだけだ』と言われたので、これなら迷うことなく『ルナレギン』に辿り着けそうです!
「グリフォン1号から6号まで召喚!」
シュシュシュシュシュシュッ!
「うおっ!『ラムシュクルーム』が!!」
「召喚獣を呼び出すから驚くなって言っただろ!」
「いやいやいやいや!普通『ラムシュクルーム』が出てくるとは思わないだろ!」
グリフォンでの旅は最初の準備が最重要なので、非力なクーヤちゃん以外の全員がグリフォンの背中に乗って輪っかを作っていく。
もちろんショタもサボっているわけではなく、ビニール紐を召喚して、それをハサミで切ったモノをみんなに渡していった。これで輪っかを補強するのだ。
「命綱はちゃんと付けたな?」
「「アイアイサーーーーーーーーーー!」」
「よーし、じゃあ出発だ!!」
バサッ バサッ バサッ バサッ
バサッ バサッ バサッ バサッ
レオナねえの号令と共に、全てのグリフォンが空に舞い上がった。
「「マジか!今度は『ラムシュクルーム』が6体だと!?」」
変な声が聞こえたのでそっちを見ると、騒いでるのはあの時の酔っ払い達だった。
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