第194話 セルパト連邦に到着?
ゴンドラに戻ってもう一度空に舞い上がる。
そして席に着いたボク達がやることは一つ!
―――――牛丼の回し食いだ!!
「じゃあ誰からいこう?隣にいるタマねえからにしようか。悪そうなお兄さんはさっきラーメン食べてたし」
「楽しみ!」
「俺は最後で構わんぜ」
「じゃあ牛丼召喚!」
トレイから素早く味噌汁を取り出し、コップを入れる凹みの上に乗せた。
こうしないと揺れて倒れる可能性がありますので。
「玉子は入れる?」
「クーヤが入れてたからタマも入れる」
「ただ白身は好き嫌いあると思うから、初心者には黄身だけ入れるのがオススメかな?人によっては玉子が邪魔くさく感じると思う」
「んなもん生で食って腹壊さねえのかよ?」
「これはちゃんと消毒された玉子だから大丈夫だよ!」
「マジか!なんかスゲー拘りだな・・・」
日本以外では、生で食べたらほぼアウトらしいですけどね。
ちなみに食用の鶏のタマゴだけ『玉子』と表記し、それ以外は全部『卵』と表記するのが一般的らしいですよ。
「じゃあ黄身だけ入れてみる」
「ではプロのクーヤちゃんにお任せください!まず玉子の殻を半分に割って、こうやって右手に持った殻と左手に持った殻を行ったり来たりさせるの」
玉子が入っていた器に白身だけが落ちたので、残った黄身を牛丼に乗せた。
「最初は玉子をそのまま置いておき、半分くらいまで食してから玉子の黄身を破り、その違いを感じてもらえると幸いで御座います」
「わかった」
「オイ!クーヤが謎の料理人口調になってるぞ!」
「ホント、妙な拘りを持った子だよね」
「料理人クーヤちゃんはあんまり可愛くない」
「相変わらず意味の分からんガキだ・・・」
意を決し、タマねえが実食を開始した。
「!?」
一瞬驚いた顔をしたタマねえが、召喚し直した箸を上手く使って牛丼を口の中へかき込んでいく。
「すごく美味しい!!チョコレートに匹敵する!!」
「ヨッシャーーー!牛丼ファンが一人増えました!」
「タマがチョコレート並みと評価するとは、マジで期待出来るぞ!!」
「見てるだけでお腹が空いてきたし!」
「クーヤちゃんが出した物って、全員が食べられるのがいいよね~!」
「そもそも食い物を無限に召喚するのが意味不明なんだよ!!」
そしてボクが教えた通りに、半分食べたところで玉子の黄身を割る。
「なるほど!玉子でさらに美味しくなった!」
「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」
そのタマねえのセリフに一つ頷き、当然だろ?という顔で答える。
ズズズズ
最後に味噌汁を飲み干したタマねえは、とても満足気な表情だった。
「200点」
「「200点キターーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
相変わらず、みんなノリが良いですね!
すぐ消すと満足タイムが一瞬で終わってしまうので、5分のインターバルを置き、次はレオナねえが牛丼にチャレンジする。
「な・・・んだと!?思った以上に肉が柔らかいぞ!」
そう言った後、タマねえと同様に半分地点で卵の黄身を割り、米粒一つ残さずドンブリを平らげてから味噌汁で〆る。
「200、いや180点!」
「「おーーーーーーーーーーーーーーーーー!」」
味噌ラーメンには若干届かなかったけど、ステーキの1.8倍評価だ!
自評:辛口評価のレオナねえも、かなりお気に召したということ。
そしてアイリスお姉ちゃん→ナナお姉ちゃん→悪そうなお兄さんと実食。
「私は玉子が無い方がいいかな?でも本当に美味しかった!」
「肉の下にある白いフワフワしたのは何?パンと全然違うけど美味しいね!」
「200点。シンプルではあるが、これ作った料理人も間違いなく天才だろ!!」
最高得点を付けたのは、ボクとタマねえと悪そうなお兄さんの三人だけだったけど、全員が牛丼を高評価してくれて本当に良かった!
ちなみにナナお姉ちゃんには『米って名前の穀物だよ』と教えてあげたんだけど、こんな感じの食べ物は初めてらしい。
この世界に米は期待できないかもな~。でもまあいいや!無限牛丼があるから、食に関しての欲求不満が全て解消されたしね。
◇
「あれ?なんか左側に長い壁が見えるよ?」
全員がショタの言った方向に注目した。
「何だありゃ?」
「道を封鎖してる?」
「もしかして、あそこに国境の門とかあるんじゃねえか?」
「えーーーーーーーー!!もう『セルパト連邦』に到着したの?」
「ドラゴン速っ!!でももう8時過ぎか~」
この世界に合わせた時計で8時過ぎだから、日本時間でいうと大体16時くらい。
朝出発すると、次の日の夕方くらいに隣国に到着することが出来るらしい。
いや、本当に国境なのかまだ分からんけどさ。
「ハイ、壁突破!」
「じゃあもうセルパト連邦だね!」
「いや、まだわかんないよ?」
「戦争で国境を突破されたとしても、絶対そこから先には侵入させないように作った壁かもしれんからな」
「しかしこっちの山から簡単に出入りできるんじゃねえか?」
「あ、谷がある。簡単には侵入出来なさそう」
「なるほど~」
しかし山の上を飛んでたら、どこまでも飛んで行くことになるよね?
「左前方に進路を変えて街を探してみる?」
「そうだな~、真っ直ぐ飛んでたら山だけ見て帰ることになりそうだ」
「それじゃあ
「ミミリア王国じゃなければ、ドラちゃんを見られてもいいのかな?」
「いや、それはそれで迷惑になるだろ!突然こんなデケーのが街に現れたら普通に大事件だからな?おそらく軍隊まで動くぞ」
デスヨネーーーーーーーーーーーーーーーーー!
「しょうがねえなー。街から離れた位置に着陸して、そこからはクーヤの召喚獣に乗って移動するか」
「じゃあ今日は気分的にサソリにする」
「ボクはゾウにしよう」
「ゾウって確かジノラゼールのことだよな?ダメだろ!もっと小さいのにしろ!」
なんで知ってんだ!?
ああ、
「街だ!」
レオナねえの声に反応して前を向くと、遠くに街があるのが見えた。
「ドラちゃんストップ!開けた場所に着陸してください!」
『ギュア!』
まだ結構距離があるので、街からは鳥くらいの大きさにしか見えてないハズ。
「こんな場所に着地して大丈夫なのか?」
「かなり高く飛んでるから、向こうからは鳥にしか見えないと思うよ」
「なるほど・・・」
「よし、じゃあ全員着陸に備えろ!」
「「アイアイサーーーーー!」」
さーて、とうとう『セルパト連邦』までやって来ましたよ!(たぶん)
どんな面白いイベントがボク達を待ち受けているのか、すごく楽しみです!
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