第168話 久々にモコねえが登場

 時は流れ、今は2月中旬。

 相変わらずショタは忙しい日々を過ごしていた。



「すごく・・・大きいです・・・」



 くっ!このBL漫画、所々であの有名なセリフをパクッてやがる・・・。



「うっひょーーーーー!盛り上がって来ましたあああぁぁぁ!!」

「前回の本の方がしっかり恋愛感情まで描かれていて素晴らしい作品なのは間違いないんだけど、この雰囲気に飲まれていく感じの話も悪くないね!」



 ショタが血反吐を撒き散らしながら地獄の翻訳作業を頑張っているというのに、この腐女子共はめちゃくちゃ楽しんでやがりますね!しかしもう二度とやらんと誓ったBL漫画の翻訳を、再びやる羽目になるとは・・・。


 なぜこのチンチクリンが家に遊びに来ると、BL漫画が召喚されるんだ??

 身体から滲み出る腐ったオーラで、呼び寄せられてるんじゃないのか!?


 ぐおおおおおお、目が腐る!!



 そして2週間に渡る翻訳作業が終わり、ようやく地獄から解放された。



「クーヤくん本当にありがとう!お疲れ様ーーーーー!」

「一生の宝物にするですよ!!ヒャッホーーーーーーーー!!」


「ボクは旅に出ます。探さないで下さい」



 ティアナ姉ちゃんの部屋から脱出し、こたつの中に潜り込んだ。



 ガチャッ


『ちょ!クーヤくんはどこに行ったの!?』


『ん?こたつの中に潜ったぞ?』



 レオナねえに一瞬でばらされた。



『なんだこたつの中かー!旅に出るとか言って部屋を飛び出して行ったのに』


『わははははははは!クーヤの旅なんてそんなもんだろ!』



 勘違いしないでよね!本気を出せばドラゴンに乗って地平線の彼方にだって行けるんだから!いや、まだ魔力が足りないからそれほど遠くまでは無理か・・・。


 そんなことを考えていると、こたつの中に足がいっぱい入って来た。

 これはティアナ姉ちゃんとモコねえの足だな。



 つんつん つんつん つんつん


 ペシッ!


『ム!わたしの高貴な足が払い除けられたですよ!?』

『クーヤくんは旅に出たハズだから、ハムちゃんでもいるのかな?』


 つんつん つんつん つんつん


 ペシッ!


『私の足も払われた!ハムちゃんはこんなことしないから、別の何かがいるよ!』

『な、なんだってーーーーーーーーーー!?』


 つんつん つんつん つんつん つんつん つんつん つんつん


「うにゃあああああああああああああああああ!」



 三人分の足で突つかれまくり、堪らずこたつの外に出た。



「酷いことしますね!!」


「隊長!クーヤ様を発見しました!!」

「旅から帰って来たんだね!おかえりーーーーー!」

「10分もしないうちに帰って来るとは軟弱者め!」


 もちろん全然怒ってなんかいませんけどね!

 むしろノリの良いお姉ちゃん達のおかげで、毎日が楽しいですし。


 ・・・あ、そろそろモコねえも合格かな?


「モコねえに、良いお知らせがあります!」

「突然、良いお知らせがキターーーーーーーーーーーーーー!」

「なんと!今日でモコねえのポイントが100たまりました!」

「何のポイントだよ!?」

「まったく意味がわからないし!」

「ポイントが100になると、ハムちゃんが1体貸し出されるのです!」


 それを聞いたレオナねえとティアナ姉ちゃんには意味が分かったようで、『なるほど!』って顔になった。


「・・・ハムちゃんって、これ?」

「それはボク専属の水色ストライプハムちゃんなので、違う色のハムちゃんね!」

「良かったねモコピ!ハムちゃんはクーヤくんと仲良しになった人だけが貸してもらえるんだよ!クーヤくんの召喚獣だから貸し出しってことになってるけど、自分専属のペットって考えていいからね」

「ただ可愛いだけじゃなくて、めちゃくちゃ便利なんだぜ?」


 モコねえは意味が分からず、ただ困惑している。


「じゃあハムちゃんがどれほどすごいのか説明するよ!」



 ハムちゃんが魔法を使えることや、荷運びが出来ることを知ったモコねえの目がキラキラと輝き出した。



「ハムちゃん凄すぎるですよ!えーと、荷物をいっぱい持ち運べる子がいいです!」

「じゃあ容量が【2】あるハムちゃんをいっぱい出すので、気に入った子を選んでね!何の魔法が使えるかは聞かれた時に答えるから」

「よろしくお願いしますです!」



 しばらく悩んだ結果、最終的にモコねえが選んだのは、黄緑色に白い縞模様の入った風魔法を得意とするハムちゃんだった。


 魔法に拘りが無かったので、見た目の可愛らしさで決めた感じですね!

 それでも結構凄い威力の風魔法を使えるので、地味に強かったりもします。



『チュウ!』


「うわぁ~うわぁ~!これ可愛すぎですよ!!」


 もうデレデレといった感じで目をうるうるさせていたので、手を引いて黄緑ハムちゃんの側に連れて行って存分にモフらせてあげた。


「ハァ~、やわらかい・・・幸せ~~~~~~~~~!」


 よし、これでもう遠慮なくハムちゃんをモフれますね!



 結局モコねえとはBL漫画繋がりしか無いようなもんだけど、面白いし、性格が良い子なのは間違いないからね。


 しかし何だかんだで、みんな容量が多いハムちゃんを選んだな~。

 やっぱ魔法よりも収容量の方が重要ってことなのだろう。


 みんなに好きなのを選ばせてあげたわけだけど、ボクはハムちゃんを全て使えるから、容量が【1】の子ばかり残っても全然問題ないのですよ。むしろ強い魔法が使える方が重要かも?



 さーて、春までもう少しだ。雪が解けたらパンダ工房が動き出しますよ!

 あ、そういえば学園っていつから始まるんだろ・・・。

 

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