第144話 アイリス&ナナ 驚愕する
デジタルカメラという玩具を手にした家族の盛り上がりは半端なかった。
写真を撮るだけなら誰でも簡単に出来るので、リリカちゃんですら争奪戦に加わったんだけど、幼女がペットの写真を撮っている姿は微笑ましかった。
しかし当然ながらカメラブームは次の日になっても継続され、うたた寝でもしようもんならお母さんに一枚撮られていたりするから大変です。
気を抜いたら誰かにパシャリと撮られるので、鼻もほじれないという・・・。
とにかく隙を見せたらやられるのだ!
ただ風呂場に突撃して行ったレオナねえに写真を撮られたティアナ姉ちゃんが憤慨し、写真はすぐに消去され、エッチぃのは禁止というルールになった。
まあ誰でも見ることが出来る状態なのだから当然だろう。
似たような写真が何枚も並んでいるのも邪魔なので、ついでに消去された。
「エロ禁止なのかよ!エロ本を作ろうと思ってたのに!!」
「誰でも見ることが出来るんだから慎みなさい!ライガーさんやベイダーさんに裸を見られてもいいの?」
「ダメに決まってるだろ!!」
「それに、本にするには何か別の道具が必要なんじゃない?この道具から取り出せなきゃどうしようもないよ」
「魔法で何とかならんか?」
「そんな便利な魔法なんて無いと思うけど・・・」
レオナねえ専用のフォルダを作って鍵とか掛けられそうな気もするけど、わざわざ言う必要もあるまい。この人エロ本作るとか言ってるし!
・・・画像データの取り出しか~。プリンターがあれば何とかなるかな?
思えばパソコンとかも出てないし、欲しい物がまだまだいっぱいありますね。
「しかしこの小さな窓でしか見れないのが残念な所だな~」
「それは思った!」
・・・ん?
そういや前にケーブルが出たことがあったような記憶が・・・。
召喚獣リストを開いてみると、HDMIケーブルがあるのを発見!
おおおおおお!これって使えるんじゃね!?
「HDMIケーブル召喚!」
その声を聞いたティアナ姉ちゃんとレオナねえが振り向いた。
液晶テレビの方まで移動して調べてみると、HDMI端子だけじゃなくUSB端子まであるのを確認。そしてデジタルカメラの方もケーブルと規格がピッタンコだった。
よっしゃーーー!大画面で写真を見ることが出来るぞ!
「大発見です!このケーブルを繋げたら、たぶんテレビで写真が見れます!!」
「「な、なんだってーーーーー!?」」
デジタルカメラの説明書で手順を調べると、思ったよりも簡単だったので、早速やってみることにした。
ケーブルを接続してからテレビの入力切り替えでHDMIを選択するとか、みんなに説明するのが大変だなーとか思いながらセット完了。
50インチあるテレビ画面に、メルドアをペロペロしているリリカちゃんの画像がドアップで映し出された。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「すごい!!でっかいリリカだ!!」
「大成功です!大きいテレビだからド迫力だね!」
「メルドアの困った顔がクッソ笑える!!」
「あはは!これって口の中が毛だらけになるんじゃないの?」
「うん、毛だらけになったみたい。このすぐ後に変な顔したリリカちゃんが洗面所に走って行ったし!」
「わははははははははははははは!!よし、次の写真に変えてくれ!」
「変な写真はダメだからね!」
「風呂場のヤツは一瞬で消されただろ!」
「どうせだからお姉ちゃん達に使い方を教えるね~」
そうこうしている間に、お風呂に入っていたお母さんとリリカちゃん、髪を乾かしていたクリスお姉ちゃん、アイテム召喚を見るためにやって来たタマねえがリビングに集まって来たので、全員にわかるよう操作方法を丁寧に説明した。
もちろん大画面で写真が表示されたことにみんな感動し、連夜の大盛り上がりだ。
しかし彼女達はまだ知らない。このデジカメは動画撮影が可能だってことを!
策士クーヤちゃんが敢えて隠しているだけなんですけどね~。
だってさ~、写真だけでこんなに盛り上がってるんだよ?
まずはこっちを楽しんでから、落ち着いたところで動画ブームを巻き起こした方が、2倍楽しめるってもんですよ!
あ、そうそう!スタンピードで街の中に魔物が潜んでいる可能性があるので、会社も学校もお休みなのです。
そんな理由で、次の日もデジタルカメラで盛り上がりながら、みんな束の間の連休を楽しんだのでした!
ちなみにアイテム召喚は、2日連続でハズレっす。
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とうとうこの日が来てしまいました・・・。
そう、ドラゴンのお披露目をすると約束した日です!!
クリスお姉ちゃんは会社へ行き、ティアナ姉ちゃんも学校に行ったんだけど、小学校はもう一日お休みらしいので、今日は朝からタマねえが家に来ております。
「よーし!みんな揃ったことだし出発するぞ!」
「ドッキドキの予感がするよ!」
「ところで私達はこれからどこに向かうのさ?森とか岩場とか言ってたよね?」
ナナお姉ちゃんは何も考えてなさそうだけど、アイリスお姉ちゃんが気付いてしまったもよう。
「南の森を越えた所にある岩場だ」
「いや、森には主がいるでしょ?」
「それならウチのリビングにいるから大丈夫だ!」
「・・・・・・はあ!?」
実はアイリスお姉ちゃんとナナお姉ちゃんは家に入っていないので、中にいるメルドアを見ていないのです。
結局二人は爆弾発言が気になって出発どころじゃなくなったので、レオナねえと一緒に家の中に入って行った。
庭でタマねえと話をしながら待っていると、三人が家から出て来た。
そしてアイリスお姉ちゃんとナナお姉ちゃんにガン見される。
「いたわよ!謎生物!!」
「本当にクーヤちゃんって意味不明ね!」
「タマねえ、酷い言われようなんですけど!」
「意味不明なのはあってる」
「なんですとー!?」
「っていうか、アレよりも凄いのがまだ出てくるってことでしょ?なんか怖くなってきたんですけど・・・」
「アタシだって全く想像つかねえもん!まあ行ってみりゃわかる。出発だ!」
「「オーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
出発前にちょっとした騒ぎはあったけど、ようやくクーヤちゃん一行は南の森に向かって歩き出したのだった。
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