第122話 悪そうなお兄さんに会いに行く
学校で先生達から魔物のスタンピードの話を聞いていたのだろう。いつもより少し遅れた時間に、タマねえが血相を変えて家に飛び込んで来た。
当然ながら未来を担う小学生が戦闘に参加するわけもなく、スタンピードを乗り切るまで休校となったようだ。
ゴーレムの件で悪そうなお兄さんと話し合う必要があることをタマねえに告げ、いつものように
「ねーねータマねえ!脇に抱えるよりもおんぶした方が楽じゃない?」
「ん?」
タマねえがショタをおんぶして10メートルほど歩いた。
「しっくり来ない。やっぱりいつもの方がいい」
「そうでっか~。クーヤちゃんとしてはおんぶの方が楽なんだけど、もう慣れたからそれでいいや!」
おそらく『黄色と黒』の到着を待ち構えていたのだろうと推測される。
「早く来てくれて助かったぜ!どんだけ待たされるのかと不安だったぞ!」
「部下に頼めばよかったのに」
「二度手間だと思ってな。もちろん例の作戦を話し合うために来たんだろ?」
「うん!」
「ここじゃあデカい声で話しにくいから場所を変えよう」
悪そうなお兄さんと一緒に、いつもの秘密基地まで移動した。
ちなみにココに来た理由は、『門の前にいるカロリーゼロは街を守っている』という噂を、悪そうなお兄さんの組織の力を使って、街中に流してもらうためだ。
「街の隅々に噂が届くまで、どれくらいかかるの?」
「総出で動くつもりだが、さすがに明日いっぱいはかかるだろう。正直それでも不十分だが、冒険者ギルドが噂を聞いていればカロリーゼロが人に敵意を持っていない事に気付くハズだ。しかし魔物の進行速度が速すぎる!全然時間が足りねえ」
なるほど!冒険者が噂を聞いていれば、ゴーレムに攻撃しようとしてる奴を止めてくれるわけか。街の人達全員が知る必要なんて無いんだ。
「えっと・・・、東門・西門・南門はそれで良さそうだけど、北門って伯爵に仕えてる兵士が守るんでしょ?」
「そこなんだよな~。貴族街にも噂は流すつもりだが、貴族連中は冒険者達と違って頭が固い。カロリーゼロに敵意が無いことに気付くかどうか・・・」
うっわ、貴族ダメじゃん!!
「ん~~~、まあでも猫の手も借りたいくらいだろうし、噂を聞いていれば魔物だろうが利用しようとするんじゃない?」
「と思いたいが、どうだろな・・・。とにかく俺等は予定通りに動くぞ。あとは貴族が馬鹿じゃない事を祈るくらいだな」
「だね~。んじゃボクが動くのは2日後の朝かな?夜明けだと、冒険者がいなかったら噂を聞いてない人に攻撃されそうだよね?」
「あ~、そうだな。冒険者がボチボチ集まって来た所で出すのがいいだろう」
門の前に冒険者がずらっと整列しちゃうと、ゴーレムを出すスペースが無くなっちゃいそうだ。絶対に遅刻出来ないぞ!!
「タマねえ!
「まかせて!」
「こんなチビ助でも、子供を抱えて街一周はキツいだろ!大丈夫なのか?」
「楽勝」
「そ、そうか・・・」
タマねえにはホント世話になりっぱなしだなあ・・・。
この恩は、街を守り切ることで返す!
少なくとも、知り合いは誰一人死なせるものか!
あ、そうだ。
「孤児院のみんなは、ベイダーさんの工房に避難させた方がいいよね?」
「あ~、そうだな。
「パンチでグシャグシャに壊れたよね!」
「今日明日にでも安全な場所に避難させとけ」
「うん。そうする!」
あとは・・・、ここでやることはもう何も無いかな?
「悪そうなお兄さんは、当日どう動くつもりなの?」
「東門を守るぜ?スタンピードみたいなクソヤバイ状況だと、住民全員の命に関わる問題だからな。敵対組織だろうが団結して街を守らなきゃみんな死ぬだけだ」
「じゃあ東門も結構防御力ありそうだね。冒険者達は東門に不安を感じてるみたいだったけど」
「だろうな。普段悪いことばっかやって縄張り争いしてる奴らを信じられるわけがない。だが安心しろ!団結した
普段から抗争ばっかしてるってことは、弱けりゃ殺されるってことだもんな。
前にショタが起こしたスタンピードもどきでは全滅してたけど・・・。
ウーーーム、大丈夫なんかなあ?
でも頑張ってもらうしかないんだ。悪そうなお兄さんの采配に期待しよう!
「じゃあボク達はそろそろ孤児院に行くよ!防衛戦がんばってね!!」
「ちょっと待った!お前はどう動くつもりなんだ?」
「知り合いが西門で戦うから、とりあえずそこで援護する予定だよ」
「西門か。ならそっちは守り切れそうだな」
「
「おう!そっちも無茶するなよ?生きてまた会うぞ!」
「頑張るよ!!」
そう言いながら悪そうなお兄さんにチョコレートを渡すと、『そうそう、久々にコレが食いたかったんだよ!』と言いながら、路地裏へと入って行った。
さてと・・・。あとは孤児院のみんなをパンダ工房に避難させれば、
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