第111話 おねしょ大会
お風呂でサッパリした後は、恒例のアイテム召喚の時間だ!
身を清め、当たりを引く準備を整えた全員が所定の位置に着いた。
ちなみにレオナねえも、ボク達が風呂に入ってる間に帰って来ていたぞ。
「え?みんな集まって真剣な表情になってるけど、一体何が始まるの!?」
「ししょーによるアイテム召喚の時間にゃ!ランにゃんもこっちに来て大人しく見守るにゃ!」
「これを見守ってようやく一日が終わる。この家では常識」
「何を言ってるのか、全く理解出来ないんですけど!!」
錯乱しているラン姉ちゃんが、ぺち子姉ちゃんにズルズル引き摺られて行った。
今日はお客さんが一人いるから、格好悪い所は絶対に見せられない。
最低でも、一発ギャグで笑いを巻き起こした鼻メガネ以上の物を出さねばならぬ。
心を宇宙へと飛ばし、天に祈りを捧げる。
「アレって何をやってるの?」
「黙るにゃつるぺた!ししょーの邪魔をするにゃんて神への冒涜と一緒にゃ!」
「あーーーっ!今つるぺたって言ったわね!!」
「タマししょー、そのタオルを取ってほしいにゃ!」
「ん」
「むごッ!むごごごごッッ!」
一人騒ぐつるぺたは、顔にタオルを巻きつけられて煩い口を封じられたようだ。
気を取り直し、今度はアイテムの生まれ故郷である
・・・ここだ。
「アイテム召喚!!」
ヴォン
室内が眩しい光に照らされ、後ろからまた『むごごご』と聞こえた。
光は一瞬で消失し、そこに出現していたのは縦横30㎝くらいの綺麗な袋だった。
「来たッッ!これはもしかしたら当たりかもしれないぞ!!」
「食べ物なの!?結構膨らんでるよ!」
「何かしら?ずいぶんと綺麗な入れ物ね!」
「くっ!ラーメンじゃなさそうだな・・・」
「お母さんも、アレには良い物が入ってるような気がするわ~!」
「いちごパフェ?」
「大きなチョコに期待!」
「モゴゴゴゴゴゴ!!」
「召喚も終わったし、そろそろ解放してやるにゃ!」
袋はシール一枚で封されてたので、破かないように慎重に剥がした。
そして中を覗いてみると、袋が二つ入っているのが見えた。
袋を一つ取り出し、シールを丁寧に剥がして中身を見る。
「あーーーーーーーーっ!!これはクリスお姉ちゃんの大当たりだ!!」
「え?私の大当たり??」
そう言われては居ても立ってもいられず、クリスお姉ちゃんがショタの隣まで移動して来た。
「ドリップコーヒーのセットだよ!簡単に説明すると、いつも飲んでるコーヒーよりもこっちの方が圧倒的に美味しいコーヒーなの!!」
「な、なんですってーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
「しかも8種類くらいあるから、色んな味と香りを楽しめるよ!」
「わあああああああああ~~~~~~~~~!す、すぐにでも試さなきゃ!!」
「あ、ちょっと待って!もう一つの袋も開けてみるから」
シールを剥がしてもう一つの袋を開封すると、こっちは紅茶がいっぱいだった。
「おおおおおおおおおおおおおお!!こっちは紅茶だーーーーーーーーー!!」
「それは何?コーヒーとは違うの?」
「えーとねえ、コーヒーよりもサッパリとした感じの飲み物だよ!これはこれで美味しいから、みんなで色々試してみようよ!」
「クーヤ、ストックしてないよ!」
「おっと、そうだったーーーーーーーーー!いや~危ない危ない。タマねえ、教えてくれてありがとね!」
「中身を確認しなきゃいけないからクーヤは悪くない。周りが教えてあげればいいだけのこと」
「どの状態でストックするかも重要だからね~」
この場合はどの状態が良いかな?・・・ふむ。初期状態がベストっぽい気がする。
「ストック!」
召喚獣リストの文字化けを、ドリップコーヒー&紅茶セットに書き変える。
「ドリップコーヒー&紅茶セット召喚!」
無限化されたアイテムが目の前に出現した。
「さあ・・・って、もうすでにみんな行動開始してたーーー!!」
流石はアイテム召喚慣れしたお姉ちゃん達だ。
きつく縛り過ぎてめっちゃ怒られてるぺち子姉ちゃん、そして顔を真っ赤にしたつるぺた以外の全員が、すでにカップやポットなどを取りに動いていた。
そしてポットのお湯が沸くまで、全員が息をひそめて見守る。
「100になった!」
「よーーーーーーーーーし!」
ドリップコーヒーを淹れる時は、ポットに備わっている『ドリップボタン』を押せば淹れやすいってことを全員に説明した。
とりあえず今回の主役であるクリスお姉ちゃんが、皆の代表としてドリップコーヒーを淹れる。
「ん~~~~~~~~~~~~~!なんて素晴らしい香りなのかしら!!」
「もうここまで匂って来たよ!」
「本当に良い匂いがする!」
「おおっ!こりゃ今までのコーヒーとは格が違うぞ!!」
クリスお姉ちゃんには素晴らしい感動を味わってほしいと思ったので、コーヒー界の横綱ともいえる『ブルーマウンテン』を飲んでもらうことにした。
しかし残念ながらコーヒーフレッシュはまだ手に入れてないので、使えるのはクリーミングパウダーだ。
でもコレを使わなきゃブラックで飲むことになり、ブラックよりもミルク入りを好むクリスお姉ちゃんにはどうかと思ったので、入れることをオススメしといた。
そして紅茶にハマる予感しかしないお母さんに飲んでもらうのは、紅茶界のレジェンドともいえる『アールグレイ』だ。
最初は基本に忠実な『ダージリン』かなあ?とも思ったんだけど、まあ色々飲んでるうちに好みの味に辿り着くだろうから、細かいことは気にするまい。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
コーヒーを一口飲んだクリスお姉ちゃんの動きが止まった。
「神はここにいたッ!!」
「「おおおおおおおおおおおおおお!!」」
「はぁ~~~~~、正直ここまで格が違うとは思わなかったわ!」
「もう本当に全然違うよね!!」
「こうなったらもう、今日中に全種類飲み比べるわよ!!」
「いや、8種類くらいあるよね!?そんなに飲んだらおねしょしちゃうよ!」
「構わないわ!お漏らししても一片の悔い無しよ!!」
いいんですかそれで!?いや、それはそれで尊いですけど!!
「これっ!!お母さんすごく大好きかも!!」
おお!?お母さんが語尾を伸ばさないくらい興奮してらっしゃる!
「紅茶だね!何となくお母さんが好きそうな飲み物だなーって思ってた!」
「決めたわよ~!お母さん、今日中に全種類飲み比べるわ~!」
「いや、紅茶も6種類くらいあったような・・・」
「おねしょしても悔い無しなのよ~~~~~!!」
ダメだこの親子!!
みんな結構違う性格だと思ってたのに、やっぱり似たもの親子だったーーー!!
「紅茶ってすごく美味しいね!私も色々飲み比べてみよっと!」
「チョコ味が無い・・・」
「あついけどおいしーーーーー!!」
「コーヒー?だったかしら?初めて飲んだけど凄くビックリな味ね!苦くて甘いんだけど、これは癖になる苦さかもしれない!次は紅茶の方を飲んでみるわ!」
「熱くてまだ飲めにゃいにゃ・・・」
みんな楽しそうで何よりなんだけどさ~、このままじゃ一体何人がおねしょするかわかったもんじゃないぞ!?
「クーヤ、そろそろラーメンの時間だぞ!」
「・・・え?この状態でもラーメンなんすか?」
「当たり前だろ!ラーメンを食ってようやく一日が終わるんだ!」
うん。レオナねえだけは通常運転ですね!!
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