第101話 みんなの大好物
何だかんだで味噌ラーメンも好評だった。
もちろん全員が大好物ってわけではないんだけど、纏めるとこんな感じ。
◎味噌ラーメンに対するみんなの評価
お母さん 美味しい
クリス姉ちゃん 美味しい
レオナねえ 最強
ティアナ姉ちゃん 美味しい
リリカちゃん 熱い
タマねえ 大好き
ぺち子姉ちゃん 猫舌
大体予想通りかな?
リリカちゃんとぺち子姉ちゃんは判定不能だったけど。
◎味噌ラーメンに限らず、それぞれが大好きな食べ物
お母さん フルーツパフェ
クリス姉ちゃん コーヒー&シェイク
レオナねえ 味噌ラーメン
ティアナ姉ちゃん 甘い物全部
リリカちゃん いちごパフェ
タマねえ チョコ&チョコレートパフェ
ぺち子姉ちゃん ハンバーガー
大好物となると、意外と散らばったりするのです。
ティアナ姉ちゃんだけは拘りが無いみたい。大体何食べても美味しそうにしてる。
無限シリーズがもっと増えれば、大好物も変わっていくんだろうけどね。
ちなみにボクも、ティアナ姉ちゃんと同じく全部美味しいってタイプです。
ところでこの世界に来た時は、自分のことを生前のように『俺』って考えてたんだけど、途中からは『ボク』って意識するようになった。
やっぱ心の中でも『ボク』って思ってないと、子供らしくない言動になっちゃうんですよ。
おかげで普段の会話にも『とげとげしさ』みたいなのが無くなったと思う。
無理もしていないから『あざとさ』も薄れたんじゃないかな?
ただナチュラルになった分、スラっと21歳の知性が出ちゃってるけど、もう今更だなーと思って気にしないようにしてる。
世界に馴染むほど、5歳児設定を維持するのって難しいです。
◇
「おーーーーーーーい!!ベイダーさ~~~ん!客だぞーーーーーーーーー!!」
「客だぞーーーーーーーーーーーーー」
孤児院の子供達を引き連れたクーヤちゃん一行は、ようやくベイダー工房へと到着した。
そして前回同様、タマねえと一緒にベイダーさんを大声で呼び寄せる。
「おい!だからそのライガー口調は真似せんでいいと言っただろう!」
「孤児院のみんなを連れて来たよ!」
「ベイダーさんこんにちは。今日は宜しくお願いします!」
「ああ、ここにいるので全員か?みんなよろしくな!」
「「よろしくおねがいします!!」」
みんなは面接のために事務所へと移動したけど、ボクとタマねえまで面接に付き合うこともないと思い、工房の入り口に残った。
院長先生とベイダーさんの会話を、ただ隣で聞いてるのが苦痛だったのよ!
また暇を持て余したタマねえにぺろぺろされるのが目に見えているからな~。
ベイダーさんのことだから全員良くしてくれるとは思うけど、明らかに鍛冶の戦力にならなそうな女の子もいたから、そこをどうするのかだけ気になるけど・・・。
「うーむ・・・、孤児院の子を全員お弟子さんにするのはダメな気がするな~。力の無い女の子が鍛冶屋で働くのって絶対大変だよね?」
「魔法職に剣で戦えって言ってるような感じ」
「それは良い例えかも!ちゃんとその人に向いてる職業を紹介しなきゃやっぱダメだよな。小っちゃい女の子でも出来ることかぁ~」
「ぺろぺろ?」
「それは絶対やっちゃダメな商売だから!!」
突然、なんて危険なことを言うんだタマねえ!
たしかに『ぺろぺろ喫茶』とか始めたら、噂が噂を呼び連日の大盛況になるかもしれないけど、この街に潜む変態紳士達が店に集結してしまうぞ!
つーか孤児院の先生達にドン引きされるじゃん!
クーヤ派遣事務所の名が地に落ちるわ!!
・・・いや待てよ?
『可愛い女の子』という武器を生かすのはアリじゃないか?
可愛い服を着た女の子がちょこまか歩いているだけで、ほっこりするもんな~。
そうか!ベイダー工房に足りないのは華やかさだ!
ライガーさんが当社のマスコットキャラであるパンダちゃんを招聘した時に、フリフリの可愛い服を着た女の子も隣にいた方が絶対映えるよな?
すなわち女の子達に教えるのは鍛冶なんかじゃなく接客。
そして勉強もさせて、事務仕事が出来るようになれば大成功って感じかな?
でも今の質素な服装じゃ全然ダメだ。
ここはファッション関係の仕事をしているクリスお姉ちゃんの出番っしょ!
可愛いメイド服がいいかな?
もちろん昔のメイド服じゃなくて、近年のコスプレっぽい方ね!
・・・作れるかどうかは知らんけど。
よーし!そうと決まれば事務所に突撃だーーーーー!
「タマねえ、事務所に行くよ!」
「何か閃いたの?」
「うん!」
◇
ドンッ!
「ベイダーさん!可愛い女の子はマッチョにしちゃダメなのです!可愛い女の子のまま育てるのが良いのです!」
「おいクーヤ、突然部屋に入って来て何を興奮している!?」
「クーヤは時々こんな風になる。早く慣れた方がいい」
ベイダー工房には華が無いこと、接客の必要性、世の中筋肉だけじゃないってことを怒涛の勢いで30分ほど捲し立てた。
「なるほど・・・、クーヤの言う通りかもしれんな。確かにその娘っ子達は鍛冶をするには筋力が足りない。一人前に育つまで時がかかり過ぎると危惧してた所だ」
「じゃあ接客の方で育成するってことでよいかね?」
「いいだろう」
「よっしゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「で、誰が接客を教えるんだ?」
「・・・・・・・・・」
しまったーーーーーーーー!そのことを一切考えてなかった・・・。
「これは、全然考えてなくて『しまった!』って思ってる顔」
「うむ。それなら儂にもわかるぞ」
くっ、完全にバレてらっしゃる!
自分がそこまで顔に出るタイプだったとは・・・。
「探して来る!!」
「構わんが、もうあまり金は出せんぞ?」
くっ!
「接客業をクビになって、もう後が無いから安月給でも働いてくれそうな人なら大丈夫でしょうか?」
「いや、そこまで足元を見た世知辛い雇用じゃなくてもいいんだが・・・」
しょうがない。
いざとなったら、クーヤ青年がコンビニで2ヶ月の間クソほどもやる気の無い先輩女性に教わった機械的接客を、女の子達に叩き込むしかないか・・・。
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