第21話 冒険は一旦おやすみ
ちょっと前まで、ひ弱で自衛能力など皆無な可愛いだけが取り柄のショタだったけど、ここ数日だけで攻撃力が爆上がりしてしまいましたよ!
カブトムシによる遠距離攻撃だけじゃなく、メルドアによる近距離攻撃手段も手に入れてしまったので、もう前ほどビクビクしながら暮らさなくても良くなったんじゃないだろうか?
とはいえ防御力は皆無なままだから、この屋敷で暮らしてる限り事故死する確率はめちゃめちゃ高いんだけどね。
そもそも家の中が1番危ないっておかしいだろ!!
・・・いや、そのことを考えるのはやめとこう。
言葉を憶えるまでは引っ越しすら難しい問題なのだから。
とにかくもうしばらくはこの屋敷から動けん。
お金を稼ぐ手段に心当たりもない状態だから、下手をするとまだ何年もここで暮らさなきゃならない可能性だってある。
5歳児を働かせてくれる店なんて無さそうな気がするし、剣と魔法の世界といえば定番の冒険者ギルドみたいなのがあったとしても、5歳児を登録させてくれるとも思えない。
それに現状ガールハントで食いつないでる身分としては、強さのアピールは世間にマイナスイメージを与えてしまうだろう。
強いショタなんて誰も望んじゃいないんだ。
ただ可愛いから奢ってあげたくなるわけで、猛獣やカブトムシを召喚するデンジャーショタだと気付かれたら、きっと離れていってしまう。
まあ、俺程度の召喚士なんて全然大したことないゴミみたいなもんだろうけどさ。
カブトくん達はともかく、メルドアは裏の森で最初に出会った動物だからなあ。
ああ、謎の動物もいたけどアレは死んでたから除外ね。
俺から見ると凶悪極まりなく思えたんだけど、ゲームでいうゴブリンとかスライムとか、もしくは人畜無害な草食動物みたいに思われている獣かもしれないのよね。
だからといって召喚獣から解雇するなんてことは絶対ないけどな!
意思を通わせてみたらすごく可愛いヤツだったし、ショタの乗り物としてもかなり優秀だ。それに毛がモフモフだったから、寄り添って寝たら絶対暖かいし!
屋敷で召喚出来ないのが本当に残念でならない。
本人が嫌がってるのに無理やり呼び出すのはちょっと可哀相だからな・・・。
いや、召喚するのに結構な魔力を消費するから、アイテム召喚を考えると気軽に呼び出せないってのは逆に良かったのかな?
俺以外の召喚士が普段どういう風に生活してるのか、めっちゃ気になるわ。
会話が出来るようになったら召喚士を探してみよう!
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―――森に冒険に行ってから2週間が過ぎた。
毎日言葉のお勉強をしていた甲斐あって、街の人達の会話内容も何となくわかるようになってきた。
やっぱり外国語を学ぶには現地で暮らさなきゃダメだね!
それと短期間でこの段階まで来られたのは、子供の吸収力の良さも関係してるのかもしれない。生前の記憶を引き継いでるから考え方は大人なんだけどね。
しかし2週間の間に一度雨が降った日があって、一応広場まで行ったんだけど露店は閉まってるし人はいないしで、食事抜きをくらったのはキツかった。
行き当たりばったり生活なので、雨が降るとこんなことになってしまうのだ。
連日の雨って状況が来る前に何とか言葉を覚えて、保存がきく食料を手に入れなければなるまいよ。
森で動物を狩って干し肉を作るってのもアリかもしれんけど、正直怖いから狩りなんて行きたくない。しかも生き物の解体なんてしたことないし。
最初に出会った動物が虎のようなサイズのメルドアってことは、恐らくあの森には同等かそれ以上のヤバイ動物がうじゃうじゃいると思うわけですよ。
となると、動物とエンカウントするたびに命を賭けた戦闘をしなければならない。
一撃もらったら死ぬって状況で、何度もそんな危険な行為なんかやってられんわ!何か防御力を上げる手段があれば考えるけどさ。
まあ狩りをしに森に行くのは、雨が3日とか続いたらって感じかなあ・・・。
「そして2週間のアイテム召喚の結果がコレだ!!」
部屋に乱雑する電化製品の山を見て、ため息を漏らす。
2週間分だから14個?そのうちの10個が電化製品とか、マジで勘弁して欲しい。
液晶テレビが出た時はちょっと嬉しかったけど、結局電気が無いからファミファミで遊ぶことが出来ないんじゃい!!
洗濯機もコタツも出たけど、電気が無けりゃ粗大ゴミだっつーの。
たぶん運はかなり良いと思うんだよ。使えないから無意味なだけで。
発電機でも出てくれれば話は変わるんだけど、ガソリンで動くタイプのじゃダメなんだよね。ソーラーパネル式の凄いヤツが出ればなあ・・・。
んで、電化製品以外の四つのアイテムなんだけど、3本入りのボールペンは当たりだった。自分で使ってもいいし、プレゼントしても喜ばれるんじゃないかな?
この世界の文明レベルとかまったく知らから、もしかしたら無限に字が書けるペンとかがあるのかもしれんけど。
出た時に大当たりだと思ったのは、爪切りとハサミだ!
爪切りが無ければどうやって爪を切ったらいいのか悩んだろうから、出現してみてようやく貴重品だということに気付いた感じ。これはマジで助かった。
あと、ハサミがあれば自分で髪を切ることが出来るのが大きい。
これも大事に使わねばなるまいよ。
そして最後の一つは超絶大当たりだ。俺はこういうのを待っていた!
【マヨネーズ】
なんと袋に入った状態の新品だ!!
しかしこれを開封してしまうと、いつか腐ってしまうだろうとか考えてしまい、使うに使えないもどかしい状況に陥っている。
マイマヨネーズとして持ち歩きたい気持ちもあるけど、奢ってもらった串焼き肉につけて食ってたりしたら、お姉さん達に興味を持たれてしまって、一瞬で無くなる可能性がある。
今の生活状況ではまだ使わない方が無難だろなあ・・・。
まあとにかくもう少しの辛抱だ。
言葉を話せるようになったら、この世界のことをいっぱい調べよう!!
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