新しい家族のカタチ

敦子は二十六歳のシングルマザーだ。


子供は四歳になる和也がいる。夫の浮気で離婚したが、約束の養育費は最初の三ヶ月で止まってしまい、催促の電話もつながらない。


パートと国からの手当で、なんとか生活できているが、仕事もいつまであるか分からず不安は尽きない。


敦子も母子家庭で育った為、和也には、何が何でも寂しい思いはさせないと誓っている。


毎日、出勤途中、車で和也を保育所へ送っていくが、数分手前で車を止めて、ゆっくり歩いて保育所まで行くのが日課だ。散歩のおじさんとお話したり、花壇を眺めたり、和也とのふれあいの時間が、一番の貴重な時間になっている。


子育ては不安だらけだ。本当なら夫婦二人で悩んだり相談するのに、なんでこんなに孤独なんだろうと、打ちひしがれる事がある。



そんな時に出会ったのが、マンションの斜め下に越してきた美緒だ。敦子と同じ境遇で、同い年の子供がいる。意気投合して、一緒に住むことになった。家賃は半額だし、食費や光熱費、家事も分担して生活は格段に楽になった。子供達も気が合うようで、遊び相手ができて安心だ。


何より、家事をしない上、毎晩飲んだくれて、食事にうるさい旦那の代わりに、働き者の妻が二人いる家庭は、全てにおいて理想的である事が分かった。


敦子たちは、自分達の様な境遇の女性達を、カップリングをする会社を立ち上げて、大成功を収めている。


これからの既婚男性は気をつけた方が良い。休日、子供の面倒を見ずに、寝転んでスマホばかり見ていると、妻に捨てられる事なるだろう。

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