仕事と人生

北野はハードウォーカーでは決して無い。昔からいくら積まれても残業はしたくない方だ。どうせ、彼の小遣いの額が増える訳ではないからだ。こんな北野であったが、今まで、何度もリストラの波をかいくぐってきた。


北野には秘訣があった。仕事をがんばっているようには、見えないが、さぼっているようにも見えないのだ。仕事が少ない時には、決して手持無沙汰に見せないし、忙しい時にも、決して頑張っている感を出して注意を惹かないようにしている。


通常、工場のルーティンワークでない限り、仕事は一定の量でやってこない。すべての仕事をこなしながら、波を作らず注意を惹かないというのが大切だ。下手に仕事が出来ると思われたり、暇だと思われたりすると、仕事が増えてしまうからだ。


よく、仕事が忙しいとか、やる事が一杯あって、どれから手を付けたらよいか分からないといってアピールしている社員は、仕事の効率が悪いと自慢しているようなもので、誰も本当には耳を貸さないし、相手にされないので仕事を振られることもない。


ここまで、自分を落とす事が出来る人は、これも一つの方法と言えるがオススメはしない。


そんな邪魔くさい事をせずに、本当に仕事を頑張れば良いという人がいるであろうが、そんな簡単な物では無い。あなたは本気で仕事に人生を捧げる事が出来るであろうか?子供の成長を見守りたいし、自分の時間も大切にしたい。人生は一度しかないのだ。


会社を否定している訳では無い。仕事から学ぶ事は多い。会社を辞めず続けるには、細く長くが良い方法だという事だ。真面目で能力のある人ほど、頑張りすぎて離職する事になるのだ。無計画な無職状態ほど、ストレスになる事は無い。鬱病を発症してく不幸の連鎖を招く事がある。


かくて、北野は在職中身につけた色々なスキルを生かして、楽しく老後を過ごしたという。

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