そらいけ!パンパンマン

正義の味方パンパンマンは、今日もばいきんくんをやっつける。


今までも、これからも変わらないルーティンワークだ。


じゃむおっさんもバタ公も、全力でサポートしてくれる、心から信頼できる味方だ。


少なくとも、あの日までは、そう思っていた。


いつものように、ばいきんくんの攻撃を受けピンチになった時、じゃむおっさんが、あたらしいパンを、パンパンマンめがけて発射した。


強烈な衝撃と共に、パンパンマンの古い頭は、地面に無残に転がった。


向こうでは、新しい頭のパンパンマンが戦っている。


という事は、自分は誰だ?


こんな事は、想像していなかった。あのパンパンマンは一体誰で、なぜ私は、地面に転がっているのだろうか?


そう言えば、一度、古いパンの行き先を聞いた事があった。


妙に、じゃむおっさんがバタ公と目配せして、気まずそうにしていた。


私も、あえて、それ以上は問い詰めなかったが。


今、謎が解けたような気がする。


パンには、魂が吹き込まれている!パンの交換の瞬間、魂は新しいパンへ、記憶のコピーと共に移動する。私(霊体)は、取り残され、朽ちていくのを待つだけだ。


なぜ、こんな事になるまで、気が付かなかったのだろう。記憶が自分だと疑わなかった。こんな事なら、くだらないばいきんくん退治など止めて、旅に出たのに。


ふと、上を見ると、にやけた顔をした、じゃむおっさんが、私を踏みつけようとする所だった。


その時、ばいきんくんのキックで、じゃむおっさんがふっとんだ。


「タチツテトー!もう、これいじょうの悪事はゆるさない!」


じゃむおっさんは、一目散に家に逃げ帰った。


私は、ばいきんくんの家に救助された。そこには、むすうの古いパンパンマンの顔が積み上げられていた。


「ホントに、あいつらは、エコというのを知らないやつらだ。古くなったパンでも、もう一回焼けば、十分食べられるんだ。」

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