人生の総決算
櫻井は典型的なサラリーマンだ。
決まった時間に起き、身支度し、一時間電車に乗って会社へ行き、決まった時間に帰って寝る。
「子供も大きくなり、もう少しの辛抱で長いサラリーマン生活から開放される。」
先が見えて、ふと思った。
「私は、人生のことを、やり過ごして、我慢するだけのものだと思っていたのか?」
人生を年表にしてみた。残り三分の一。少なさに愕然とする。この先、漫然と人生を浪費しながら死んでいくのか。。。
人によっては、陶芸や絵画、スポーツ、旅行といった趣味を見つけて、豊かな老後をエンジョイしながら過ごそうと計画するだろう。
しかし、彼に言わせれば、そんなものは老後の虚しさを紛らわせているだけに過ぎない。
一歩、向上してボランティア活動に励むか?
あの押し付けがましい、やってあげてる感を出しまくっている連中は、どうも好きになれない。老後にそんなストレスを抱えるのはゴメンだ。
孫に“首ったけ”になっている老人も、見ていて虚しい。子供たちからすれば“金ずる“か”保母さん“くらいにしか思われていないからだ。
その証拠に、彼も自分の親の事をそう思っていた。
彼は心を決めた。
何も決めないと。
考えてみれば、その時に考えれば良いのだ。
そんなものは計画できるものでも、するものでもない。
野球の新庄の様に、自分の心に正直に、その時、やりたいことをやれば良いのだ。
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