黄金の人生Ⅱ~実家から送られてきた祖母の形見のジュエリーボックスが「開けると異世界の古代竜が説教してくる箱」だったので売却したいです

みかん畑

第0話 プロローグ


 人生ってほんとつまらない。



 誰もわたしのことなんて見ていない。

 SNSで投稿しても反応はいつも決まった人たちだけ。


 でもその人たちはわたしとは比べ物にならないくらいの知り合いがいて。

 みんなから慕われてて。


 はあ、なんだか気持ちが暗くなる。

 嫉妬だってのはわかってる。

 でもこの気持ちはどうしようもない。 


 結局誰もが自分のことしか見ていない。

 そして、わたしはただそういう人たちを引き立たせるための存在。

 

 ほら、街に出てもみんな自分のことしか見ていない。

 友達と楽しそうね。

 おいしそうな料理じゃない。きっと映えるわよ。

 あらその服素敵じゃない。かわいいわよ。


 はあ、わたしってなんの価値があるのかしら。

 生きてる値打があるのかしら。


 こんな捻くれたわたしが教師やってるんだもの。

 世の中どうかしてるわよ、ほんと。


 

 はあ、人生ってほんとつまらない。



 23歳、影の薄い新米教師のわたしはそう思っていた。


 そう、急死した祖母の形見が実家から送られてくるまでは。




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