変態仮面
でずな
悲しい男
最近あるニュースが巷を騒がせている。
それは、パンツを被った全裸男が部屋へ侵入したというものだ。
最初に映像がSNS上にアップされ、またたく間に拡散された。
連日ニュース番組で報道され、それをパンツ評論家とか言う奴が男が被っているパンツについて、語っている。
パンツ男が出現するのは深夜2時頃。
フラフラした足取りで目的の家へ行き、不法侵入する。
ナニをしているかは分からないと報道していたが、恐らくアレだ。テレビで放送できないアレ。
なぜなら、被害にあっている家は女性で、SNSに上げられた防犯カメラの音から、男のソレの声が聞こえるからだ。
これはアレしかない。
それもあって、ネットでは大騒ぎ。
某女優の声をその男のものに変えたやつや、ゴリラのソレに音を入れてみたりと、遊びたいほうだい。
俺が一番笑ったのは腕相撲をしている人にいれたやつだ。その苦しい表情とのギャップで、一日中笑っていた。
「ピーンポーン」
「ッチ誰だよ……」
出るのが面倒くさい。
居留守しよう。
数刻が経ち訪問者がいなくなったかの確認のためインターホンを覗いた。
そこに奴はいた。
ピンク色の女性用下着を顔から被った変態が。
「んな!?」
俺は驚愕する。
変態が家に来たという事がやばいのだが、
その男は俺の知っている変態仮面と少し違った。
そう。
ありもしない胸に下着を付けているのだ。
それもかなり大きめなやつ。
俺の家はオートロックのマンション。
どうやってここまで来れたのか謎だ。
いま、警察を呼んでもいいが気になる。
なぜ変態仮面をしているのかと。
その男の実態に迫りたい。
よし。
こいつを家に入れよう。
危険は重々承知。
リビングに、無数のカメラをセットし盗撮したのをSNSに上げる。
んでもってバズる。
うひひ
楽しみだ。
「どうぞ」
変態仮面は、俺の声を聞くとビクリと体を震わせ逃げようとしたが、手を引き、強引に連れ込んだ。
「ほらほらどうぞお掛けになって。
コーヒーでよろしいですか?」
「あ、あぁ」
「かしこまりました。
では、テレビでもご覧になって少々お待ち下さい」
―――
俺は最近話題の変態仮面。
今日のターゲットはマンションに住む女。
ここのエントランスは厄介だった。
何せ、指紋認証だったからな。
ハッキングに時間がかかった。
変態仮面あるまじき失態である。
まぁでも、目的の部屋に辿り着いたんだ。
良しとしよう。
「ピーンポーン」
「………………」
っふ。
君はこの時間いない事はリサーチ済みなんだよ。
ふふふ。
あぁ楽しみだな〜〜。
今日はどんなことをシよう?
昨日の女性宅は、ちょっとハードだったな。
縛るのはつかれるしね。
「どうぞ」
……………
誰だ。
女声ではない。
ここに住んでる男か?
いや、男がいないことは確認済み。
私が不思議に思っていたら扉を開けられ逃げようとしたが、強引に部屋に連れ込まれた。
その男は、ジャージ姿で髪がボサボサだった。
あれ?
同業者……だよな?
そうこう考えていたら、リビングに案内された。
「ほらほらどうぞお掛けになって。
コーヒーでよろしいですか?」
「あ、あぁ」
状況が理解できない。
まさか……行く家間違えたのか………?
「かしこまりました。
では、テレビでもご覧になって少々お待ち下さい」
そして俺の考えがまとまらないまま、どんどん事態は進んでいく。
―――
「いや〜あなたって最近有名な変態仮面さんですよね?なんでまた俺の部屋に来たんですか?俺、見ての通り男なんですけど?」
「あっあ〜うん。未開拓の領域に足を踏み入れようと思って………」
「なるほどなるほど。ん?俺、襲われちゃう?」
「いや、そんな気分じゃない」
「そうですか………。だったら聞きたいことあるんですけど、変態仮面さんってなんで変態仮面してるんですか?」
「そうだな………。これは、俺がガキだった時に遡る。
当時好きだった女がいたんだ。俺もその子も両思いで、将来結婚も約束してたんだ。
だかな、その子死んだんだ。
いや、殺されたんだ。何者かによって。
警察は自殺と判断したが、俺はそうは思わない。
警察に、もう一度再調査してくれって何度も頼んだがき入れてくれなかったんだ。
だから、こうやって目立って俺という存在を警察に認知させてるってゆうわけ」
「そうですか……。それは……えっ、ちょっ何するんですか!?」
「いや何?君の顔が好みでね?
未知の領域に足を踏み入れてみようかなと?」
「ぎゃぁぁぁ」
変態仮面 でずな @Dezuna
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