不遇職【スライム召喚士】の異世界ライフ ~最弱の魔物《スライム》しか召喚できないハズレ職だからと追放された転生者、実は万能チートだったので悠々自適ライフを送ります~
第14話 ――実行犯か、共犯者でもない限りな
第14話 ――実行犯か、共犯者でもない限りな
「あなたのどこが半端者なのよ」
「おっ、見ろよミラベル! あっちから微妙に光がさしてる! きっと出口だぜ」
「話を聞きなさいよ!」
「それは別料金だな……」
「いつから賃金発生してたの⁉ あ、ちょっと、待ってってば!」
ひっきりなしに脳内に響く、レベルアップの通知音。最終的に召喚士としてのレベルは48。それに伴ってアビリティも増えて、レベルの実績解除でユニークスキルがひと枠追加された。
めっちゃレベル上がるな。
さすがに化け蜘蛛をバッタバッタとなぎ倒していたミラベルが手も足も出なかった相手。
経験値がおいしい。
「ねえジーク! ジークってば!」
「呼ばれてるぞジーク」
「あなたを呼んでるんだけど⁉」
「それは初耳だ」
「ずっと名前で呼んでるわよね⁉」
「ミラベルさぁ、そのテンション疲れない?」
「大体あなたのせいなんですけどねっ⁉」
人聞きの悪い。
「で、何?」
「ほら、戦闘が始まる前に言ってたでしょ。おっさんに違和感を覚えたって」
「ああ」
言ったな。そんなこと。
「安堵の声」
「へ?」
「俺がギルドに戻った時、おっさんはテンション高めに俺の生還を喜んだんだ。そんな人柄でもないだろうに」
慈愛の心を持ち合わせているなら、こんなブラック労働を強いてくるわけがない。
「まあ、ジークほどの実力者の身を案じるなんておかしいわよね」
「あー、そこはいろいろあって問題点じゃないんだ。おっさんは今、俺を戦えない雑魚だと思ってる」
「へ? 馬鹿なの?」
「いろいろあんだよ……本当に」
俺が『スライム
「結局、疑問点は一所に収束するんだ。すなわち、おっさんはどのタイミングで地下水路に潜む脅威を知ったのか、にな」
「……あ」
そう。
俺はあの時、化け蜘蛛の話をしなかった。
だけどおっさんの反応は、洞窟内に何かしらの脅威があると知っているそれだった。
「ジークとちょうど入れ違いで情報を持ち帰った冒険者がいる可能性は?」
「俺が清掃に入る前、地下水路内にはしばらく人が立ち入った様子は無かった」
「清掃?」
「そこも気にしないでいいから」
人の恥を掘り返そうとするんじゃありません。
「おっさんが知ってたのが『魔物の大量発生』か『地下水路の崩壊』かはこの際どっちでもいい。だけど、どちらだろうと知りえない情報なんだよ。ただし――」
おっさんが唯一、知りえる経路がある。
「――実行犯か、共犯者でもない限りな」
おっさんはまず間違いなく黒だ。
「今は確証がないから手を出せないけど、近いうちに必ず暴いて見せる」
「だったら、私が力になれるかも」
「ん?」
「私さ、魔力感知が得意なんだ」
知ってる。
「覚えてる? 地下水路が崩落したときに、そばにいた人たちのこと」
覚えているさ。
ちょうど都合よく崩落の場に居合わせて、すぐさま逃げ出していった奴らだ。
無関係なはずがない。
「あの人たちの魔力は覚えたから! 安心してよ!」
「……どこに安心できる要素あったの?」
「ひどくない⁉」
「いやだって、俺の魔力って気づかずに『今度こそ逃がさないわよ!
「忘れてッ‼ というか、微妙に違ったのよ。あなたの魔力は、1度目と2度目で。心当たりはないの?」
「……あー」
あるわ。
1回目に会った時はリーフスライムを召喚していた。だけど2回目に会った時はただのスライムを召喚していた。
【Link;スキル】で、俺の魔力の質まで変化していてもおかしくない。
「ほら! 裏を返せば、微妙な魔力の違いも感知できるってことでしょ⁉」
……なるほど。
「じゃあそいつらをとっ捕まえれば」
「あのおっさんの罪を暴けるわ」
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