177、音の消えた日 (お題:沈黙)
ある日、世界から音がなくなった。
正確には、自分の頭の中以外から音が消えてしまった。話し声もリンゴを落とした音もバスのクラクションも、何もかも。
事故が多発するかと思われたが逆に減った。音に頼れないため、みな注意深くなったのだ。
では、疎通はどうすれば?
意外に、これも何とかなった。
相手の身振り、そして口の動きを見ていると、声は聞かずとも言わんとするところが何となく分かった。
もちろん、本当に相手の意図と合っているかは分からない。が、今のところそれで大きな問題は生じていない。
もしかすると、声があった時と大して変わらないかも――目を吊り上げ口をぱくぱく動かしている彼女を横目に見ながら、僕はため息をついた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます