142、ビッグデータ診断 (お題:健康診断)

 友人が最新の健康診断を受けた。売り文句は「誤診率0%」。

「過去数十年の健診データ――いわゆるビッグデータを使って検査結果を解析をしているらしい」

 通常では検知不可能な癌から最初期の水虫まで。あらゆる病気を取りこぼすことなく検出してくれるという。

「ただ、その中身はブラックボックスなんだ」

 なぜコンピューターがそれを検知できたのか、人間には理解できないのだ。

「不気味だろ?」

 そう言う彼はひどく顔色が悪い。

「悪い結果だったのか?」

 私の問いに首を振ると、彼は一枚の紙を取り出した。

 それは健診結果だった。無数の項目でぎっしり埋められている。

 やがて最後の欄を見て私は顔をしかめた。そこには『余命』と印字されていた。

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