114、なまあしレストラン (お題:生脚)

 友人に誘われ、私はそのレストランを訪れた。

 彼は常日頃から生脚フェチを自認しており、そんな同好の士にはたまらない場所なのだという。

 まずまず広い店内は薄暗く、クロスの掛かったテーブルが奥まで並んでいた。そして間を縫うように、やけに白い柱がいくつも屹立している。

 いや、柱ではない。私は小さく叫びをあげた。

 それは、人間の脚だった。無数の脚――太ももからつま先までが、床からまっすぐに伸び上がっているのだ。肌艶からして、間違いなく生きている。

 床下に人が詰め込まれている? 狭い中、ひしめき合って? 自分の想像に背筋が凍る。

 友人を見ると、彼はにやり笑った。

「ここの特製料理、食べたくないか? 目の前で捌いてくれるんだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る