86、つながる (お題:絆)
ふいに、「彼女」が危ない目に遭っているという確信が私の胸に湧いた。
どこの誰だかは分からない。けれどまさに今、「彼女」が危機の渦中にあることが分かった。双子のテレパシーのようなもの、と言えば分かるだろうか。
以後、たびたびその感覚が襲ってきた。ただ無事を祈るばかりの私は、いつしかまだ見ぬ彼女に心奪われ、一緒になる将来を夢見るようになった。
だが、思いは実らなかった。
ある日を境に感覚の頻度は急増し、やがて一日中続いた後に突如途絶えた。恐らく――病死したのだろう。初めて感覚を意識してから、九十年。私も百歳となった。彼女が逝ったとして不思議ではない。
緑茶をすする。一人きりの居間に、音がやけに大きく響いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます