6、あるフライドポテト店の秘密  (12/10:アメリカンフライドポテトの日)

 その畑のじゃがいもはどれも人の顔の形をしていた。目から鼻から、さながら彫像のように。

 当然、市販はできない。が、やりようはある。フライドポテト店を立ち上げたのだ。調理してしまえば問題ない。店は繁盛したが、突然閉店してしまう。

「秘密が漏れた? それとも人面じゃがいもの祟り?」

「いいや」

 私の質問を否定すると、制服姿のもと・店主はため息をついた。

「人面じゃがいもは調理員が皮を剥いてたんだ。凹凸が激しすぎて、機械で剥けなかったからね」

「それが?」

「想像してごらんなさい。人の顔にしか見えないじゃがいもを、ピーラーで剥く光景を」

 彼は制帽を脱いだ。

「誰が正気でいられる?」

 露わになった頭部を、私は直視できなかった。

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