二 鵜戸神宮

波濤洗巨岩

神体座山中

既顕帰依証

如何之海宮


波濤 巨岩を洗ひ

神体 山中に座す

既に顕る 帰依の証

如何にして 海宮に之かん


 宮崎県南部の鵜戸神宮は、神武天皇の父・鸕鶿草葺不合尊(うがやふきあえずのみこと)を祀っている。多くの神社が山中にあるのに対して、海岸沿いに位置する珍しい神社でもある。

 海岸沿いの岸壁に入り込んだ洞窟の奥に、参道が続く。波に絶えず洗われているのは、亀石と呼ばれる巨岩。地元小学生が作る素焼きの小石「運玉」を、岩上の凹みに投げ込めれば幸せになるという。

 自分自身、地元の神社の氏子である。この神社も鵜戸神宮と縁が深いため、折に触れて参拝してきた。神に願掛けするだけではない。結果を得ての「お礼」にも訪れている。むしろこちらが大切。一句詠んでみた。


 乳飴を手にお詣りす冬参道


 鸕鶿草葺不合尊の妃は、神武天皇を産んだ後、海に帰って行ったと聞く。甘酒の酔いに任せて海宮への道行きを空想するのも楽しい。安産祈願として知られる鵜戸神宮の名物「お乳飴」は、子どもに優しい味である。

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