両利きの子

鈴木天秋

第1話

この世に産み落とされた命は、皆役割を持っているのだろう。


それ故完璧な人間などいない。全てに適した人間などいない。全ての役割を担うことはできない。お前にできることが私にはできない。


人の上に立つものはいない。自然界で我々に逆らえるものなどいない。お前の命を預かることなどしてはならない。


この世に産み落とされた命。過半数が右利きであり、左利きの子も少数ながら存在する。右脳派、左脳派とも呼ばれる。

右利きの場合は右手を主に使い生活し、左利きの場合はその逆。

使う四肢によって変わる子もいるのだろう。


しかし私は四肢を自由に使えるからと自らを両利きと称しているのではない。

「全て」が使える私だからこそ。「私」は全てを制御することができる。



天才などとは異なる、完璧な人間がいないこの世だからこそ選んだ私の人生を記す。

両利きの子として託されたこの命の使い方、篤とご覧あれ。






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