第7話 呪われた神の始動

そう・・一度 絶叫して 泣いた様を視た・・あれは痛快だった


最愛のエルトニア姫が死んだ瞬間 


死んでゆく彼女の意識と触れあい 同調して 知ったのだ


泣きながら 絶叫して彼女の名も何度も叫んでいた・・そして気を失った


テインタル王女の死に様も良かった

本来なら 純粋な血を重んじる黒の王族


兄妹婚も可能・・天上の神々に約束されていた・・本当の運命の一対

二人の・・最後の炎の世代の火竜王(サラマンデイア)


同じ あの美しい輝く燃えるような焔の色の瞳  

アーシュランとテインタルの瞳


最後までテインタル王女は兄である彼を愛していた


彼の身代わりとなり 魔法の水晶群にすぐに刺し貫かれ 

代わりに火竜王アーシュランの刺し貫いた赤い水晶は砕け散り


火竜王・最後の竜の王は解放された


命の尽きる2年の地獄を送る事なく・・その場で死を願い

愛する兄のアーシュランの手で苦しみ事なく殺された


美しいあの死に顔 あの美貌・・


入れ墨を彫る際に 抵抗したが上半身は全裸にした 

麻痺の呪文で押さえつけて 

入れ墨を彫られる痛み 唇を噛み締め 堪えていた


恥ずかしさと痛みで 堪えきれず 泣いていた様も美しかった


あの白磁のような肌・・まだ少女ではあったが 完璧な美しい肢体


まだ胸のふくらみは完全には成長していなかった・・愛らしい形

一度 抱いてみるのも 今更ながら惜しかったか・・


ふふ その後 妹を殺した兄・・

白の宗主リアンと水の女王アルテイシアが

気を失った火竜王を連れ去った


テインタル王女の身体を水晶から取り外せなかったから


髪をひと房切り 死体は魔法で塵に還した・・

彼女の魔力をこれ以上奪われぬように


髪は葬儀と埋葬用に残したのだろう・・

・・だが

 

すでにほとんどの魔力は奪った・・あの火竜王アーシュランと同じく


アーシュラン・・彼は おそらく 数か月ともたなかったろう


半分はただの人族だ・・すでに彼の魔力と命のほとんどは 

この深く赤い色に変化した美しい赤い水晶群に吸い取られてから


「この場所を焼き尽くして・・破壊すれば良かったのだろが

それも出来ずに封印するのやっとだった」


残念だな・・一人だけ あの最後の火竜王がいたのに

彼なら この水晶を破壊する事が出来たのだ


あの天才的な先読み 片方の黄金の瞳の子供も可能だった

出来るのは 炎の火竜王か黄金の竜の王のみ


アーシュランの子供が 本当の最後の炎の魔法の世代


アーシュランの父王の力 先読みの力で

少しだけ 視えた


焼けただれていた顔の皮膚は元に戻る


「身体は・・腕と上半身だけなら・・すぐに元に戻る・・最初はな」


「・・白の宗主リアンと水の女王アルテイシアの封印は 砕け散った・・

私はもう自由だ」


「・・・・いる 長い長い・・時が過ぎ去り・・

あの莫大な魔力を持った魔法の王達は消え去ったが・・


この時・・この時代にたった一人・・その魔法の王達に匹敵する

その王達の中の数十人


稀なる最終世代 最大の魔法の力

あのテインタルやアーシュランのような

あのアルテイシア・・リアン・・・あの二人程ではないが

その魔力は かなり強かった


いや、あの二人を 火竜王達をもしや超えているかも知れない


特に優れた絶大な魔力の持ち主がいる」


「それも頂いておこう まずは最初の獲物」


「おびき寄せる為の餌 いけにえ達

洞窟の入り口付近にいる あの猫耳の人間達」


あの魔法の王達の時代に比べて なんと弱弱しい魔法使い達

数人は わざと逃す・・おびき寄せる為に


そして 全ては破壊する神が復活した事を知らせる為に!

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