#14 放課後のお喋りタイム
漆原さんとの待ち合わせは、例の公園で17時となった。
あそこの公園なら漆原さんの帰り道だし、ドズルの散歩コースからそれほど外れていないので、散歩ついでに行くことも出来る。
因みに、メールのやり取りで教えて貰ったんだけど、漆原さんのお家は僕の出身中学の学区内だった。 中学3年の時に同じ市内から引っ越してきたそうで、引っ越した後も転校はせずにそのまま同じ中学に通っていたそうだ。
だから、出身中学は違うのに漆原さんのお家は僕の家からも遠く無くて、歩いて行ける距離だったんだと分かった。
家に帰ると、漆原さんのお母さんとの約束があったので、母さんに一昨日の事と漆原さんのお母さんがお詫びに来たいと言っていることを報告した。 もちろん怪我は大した事ないと強調して。
「それで日程の都合なんだけど、本当は今日にでもって言われたんだけど、それは待ってもらったよ。 だから母さんの都合がいい日を教えてくれれば、相手の方に僕から連絡することになってる」
「そうなの。なら今度の土曜日はどうかな? お母さんとしては、別に怒ったりするつもりは無いから、むしろお茶でも飲みに来るつもりでいいから」
「時間はどうする?」
「そうね。一緒にお昼ご飯も食べようか。そしたら11時頃でお願い」
「うん、分かった。土曜日の11時ね。伝えておくよ。ありがとう、母さん」
無事に母さんへの報告と日程調整も済んだので、急いで着替えてドズルを連れて散歩に出発。今日は小学校へは行かずに直接公園へ向かう。
16時半なので、約束の時間前には公園に着けそうだ。
公園に到着すると、漆原さんはまだ来ていなかったので、ドズルのリードを外して自由に遊ばせることにした。
ドズルは初めての公園でも元気いっぱいで、一緒に走り回る僕は直ぐにバテてしまった。
「ちかれたぁ~」と独り言を言いながらベンチの方へ向かおうとすると、すでに漆原さんが来ていてベンチに座っていた。
慌てて漆原さんのところへ駆け寄り
『すみません!来ていたことに気が付きませんでした』と謝ると
「うふふ、大丈夫ですよ。今来たばかりですし。 それにしてもワンちゃんと森山くん、凄く仲が良いんですね。ちょっと羨ましいです」
『そうですか? でもちょっと甘えん坊ではありますね(ドズルと仲がいいのが羨ましいなんて、漆原さんは犬好きなのかな?)』
「いいなぁ、やっぱり(森山くんにいっぱい甘えられて可愛がって貰えるワンちゃんが)羨ましいなぁ」
漆原さんは昨日の電話でのテンパってたり怒涛の早口だったのが嘘の様に、普段の優等生らしい落ち着いた口調だった。
『あ、ベンチ、隣いいですか?』
「はい!どうぞ」
『そうだ、遅くまで生徒会、ご苦労さまでした』
「うふふ、ありがとうございます」
それから色々お喋りした。
今度ウチに来て貰う日程
漆原さんのお家に遊びに行く日程
ソフト麺は4分割では無く2分割で食べる拘りの話
空手の大会で海外に遠征に行った時の話
生徒会の苦労話
ドズルが脱走した時の話
流石人気者の漆原さんは話し上手に聞き上手で、僕なんかでもとても話しやすくて、お喋りしているとあっという間に時間が過ぎてて、こんな風にお喋りに夢中になるのは本当に久しぶりだった。
1時間以上経ってて既に辺りは暗くなり始めていたので、漆原さんのお家まで送ってから僕も家に帰った。
その日の夜、漆原さんから
「今日はありがとうございました。お喋りとても楽しかったです。またゆっくりお喋りしましょうね。 おやすみなさい」とメールが来たので
『こちらこそありがとうございました。色々お話が聞けて楽しかったです。おやすみなさい』と返信した。
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