第4話 代価に求めしは くちずけ一つ(再録)2 後編
栗毛の少女 平民の幼い娘が一人
口ぐちに嘆く人々の声を耳にする
少女の瞳は 美しい男爵の姿をいつも探していた。
その姿にうっとりと憧れの目で見めてる。
もちろん そんな風に見つめる者など 数知れず
それに 男爵はもうすぐ他国の高い位の貴族の花嫁を迎える身
自分の為に振り返る事はおろか、ましてや 口を聞くなどと
・・・意を決して少女は
修道院を飛び出し雪嵐の中へ
道を辿り探してまわる。
寒さに手足は冷え気が遠くなりそう
それから小川に半ば沈んだ宝箱を見つけたのは
それからしばらく後の事
それから....
タライの熱いお湯
足湯として使う
小さな凍りついたような赤く腫れた可愛い手足
栗毛のウェーブのかかった綺麗な髪は雪でずぶぬれ
乾いた暖かな毛布が身体を包むが ガチガチと震えは止まらない
修道士の一人は彼女の為に暖かな飲み物を準備しながら
なかば怒ったようにつぶやく
「 まったくなんと無茶をする!宝箱は無事に見つけ出したの良いが ひとつ間違えば
遭難する所だ!命にも関わる!」
泣きそうにうつ向く少女
少し言い過ぎたと修道士は
ため息をひとつ
「まぁ皆も大事な宝物が見つけたと喜ぶだろう。 だが 余り無茶はしない事だ」
優しく少女に話かける。
次の瞬間 勢いよく誰かがドアをノックする。
どうぞ!と修道士が言うが早いか ドアが開く!
「指輪と聖書が見つかったとお聞きしました。ブラザー」
と男爵
少女の顔に 驚きと喜びの入りまじった表情!
憧れと恋する者の特有の熱い瞳
賢い若者である男爵も
修道士さえ 少女が欲っしているものに気がついた
男爵は 綺麗な薄い青の瞳で 少女を間近に見つめ
優しく微笑み 少女の名前を聞く 恥ずかしさの余り 顔を赤く染め つぶやく
「 エリス....です」
男爵はこの時、彼女の為に 微笑み
恋する彼女の為に 優しく彼女の名前を 繰り返し呼ぶ
「エリス エリス!
君は私の恩人 どう感謝の言葉を述べて言いいか分からない! 有難う」
憧れの男爵が自分を見つめ
自分の名前を呼ぶ
本来なら口を聞く事はおろか 間近に見つめ会うなどと、、
相手は貴族しかも政治的目的とはいえ、まもなく花嫁を迎える身の上
彼女の見開いた うす茶色の瞳からこぼれる涙
そっと少女の涙を抜い 少女の頬に 額に口づけをする
感謝の気持
代価に求めしは 口づけ
ひとつ、、、
メリークリスマス☆
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます