第15話 私たちがこの部屋でいっちーーをからかって遊べなくなるでし
夜、交代でやってきた店長が暗い顔をして、ため息をついた。
「店長、どうかしたんですか?」
俺は聞いてみた。
店長はしばらく考えていたが、決意したように言ってきた。
「いやあ、実はすごく困っていてね。にっちもさっちもいかなくなってしまったんだよ。」
それは穏やかではないな。
「どうしたんですか。俺にできることがあるかどうかはわからないけど、話くらいは聞きますよ。」
俺は言ってみた。
まあ俺が話を聞いても気休めにしかならないのは、謙遜でもなんでもなくて事実なんだが。
「実はね…。:店長は話し始めた。
「今度来た本部のエリアマネージャーが厳しい人でね。契約条件の履行を迫ってきているんだよ。」」
「え、契約違反してるんですか?」俺は驚いた。
「うーん。まあそうだね。もともと契約したときに、売上予想が出ていて、それに基づいてロイヤルティが決まっているんだけど、売上が足らないからロイヤルティも少ないんだよ。」
「そんなの、別に問題ないじゃないですか。売れないから払わない。何もおかしくない。」
俺は言った。
店長は首を振った。
「いや、そうなんだけどね。契約には実はちょっとひっかけ条項があってね。契約更新のときに、予定されたロイヤルティがまだ払われていないときには、更新時に一括で支払うっていう条項があったんだよ。」」
え?どういうことなのかな。
「まあ細かい話は省くけど、契約更新時に、1000万円支払うように言われたんだよ。そんな大金、ないよ。」
俺は驚いて聞いてみた。
「ちなみに、キャンセルというか、更新しないとどうなるんですか?」
店長は力なく首を左右に振った。
「更新しなかったら、違約金で1000万円支払えって言うんだよ。どっちにしても、そんな大金、簡単には準備できないよ。」
「店長、契約書のコピーもらってもいいですか?」俺は言ってみた。
「詳しい人に聞いてみようと思います。」
店長は店のコピー機でコピーを取って、俺にくれた。
「もし何かわかったら教えてね。」
「もちろんです。」俺は言った。
部屋に戻って、俺は今夜も来ていた金髪の魔法少女、ヒーラーGこと美似にその話をしてみた。
「おかしいわね。」美似は言った。
「普通の契約なら、そんな変な条項はないと思うわよ。騙されているのかしら。ちょっとそのコピーを貸して。調べさせるから。」
おお。なかなか頼りになる。
俺は美似にお礼を言う。
「美似、ありがとう。」
頭を下げた。
「だって、このコンビニがピンチでしょ?コンビニがつぶれたら、私たちがこの部屋でいっちーーをからかって遊べなくなるでしょ?」
美似は笑って言った。
…からかわれてるのか。
数日後、エリアマネージャーがやってきた。
背が高い、ひっつめ髪にメガネをかけた女性だ。ぴっちりしたスーツを着ているがボディラインはよくわからない。
彼女はバックヤードのテーブルに契約書を出した。
こちらサイドも並ぶ。
こちらは、店長と、ちょっと暗い顔をしてメガネをかけた女性、それとなぜか俺の3人だ。
実は店員に扮した(というかまあバイトだな)美似もいる。普通の人間に扮すると中学二年生なんだが、結構年上っぽくも見えるので、なんとか高校生のバイトって感じだ。
エリアマネージャーは契約書を開いて言う。
「解約するか、継続するか、いずれにしても一千万円。用意できましたか?」彼女はメガネをきらめかせながら聞いてくる。
そこで、座っていた暗いメガネの女性が横やりを入れる。
「待ってください。契約書のどの条項によるんでしょうか?」
なぜそんなことを聞くんだろうか。
エリアマネージャーは答える。
「第25条の但し書きよ。手元の契約を確認してごらんなさい。」
そこに対して、こちら側の女性が答える。実は彼女はヒーラーブルー、青鮫ヤミだ。
暗くてヤンデレらしいが、知的な分析には向いているらしい。
「開示されているチェーンの標準契約書には、その但し書きはありませんよ。どうしてこんな但し書きが入っているのでしょうか?」
え?どうなっているの?
エリアマネージャーは黙っている。
ただ、メガネをちょtっとずり上げた。動揺を隠しているのかもしれない。
青鮫ヤミは続けた。
「26条を見てみてください。『前条の規定に係わらず、違約金はゼロとする。』って書いていますよ。だから違約金はゼロです。」
え?なんだか変だな。そんな条鋼、見たくとがないぞ。
「そんな条項は無いわ…え?」
どうやら、そんな条項が契約書にあるらしい。
「ふふふ。あなたがやったことと同じ、幻惑魔法よ。正体を現しなさい。でないと、問答無用で消すわよ!」
何だかよくわからないが、すごい展開になってきた。青鮫ヤミ
それを聞いたエリアマネージャーは、突然笑い出した。
「ホホホホ、気づいたなら仕方ないわね!」
そういうと突然にあたりが暗くなり、煙に包まれたエリアマネージャーが、効果音とともに見事なボディーラインの網タイツレオだーどにマンと、という感じに変身した。
「ヘレニア!」青鮫ヤミが叫ぶ。
え? よく見ると、あの時のセクシーお姉さんだ。
「幻惑魔法まで見やぶられたら仕方ないわね。まあ今日こそ決着つけてあげるわ。」
ヘレニアは不敵にうそぶく。
「そうはさせないわよ。ヒーラーブルー、メークアップ!」
青鮫ヤミは叫ぶと、やはり効果音が流れて、彼女も変身した。
ヒーラーブルーは決めポーズを取る。
ヘレニアは裏口から外に出ある。
「逃がさないわよ!」横から美似、いやヒーラーゴールドが現れて戦いになる。
そのまま、店の裏で、技の打ち合いになる。ただ、流れ玉というか魔法が変なところにいかないように気を遣っているように見える。美似も苦労しているんだな。
ゴールドとブルーが二人で必殺技を繰り出す。
「ブルーシャワー!」
「ゴールドラブチェーン!」
ヘレニアも対抗して、「ブラック・シールド」と叫んだ。
どーん!と爆音がした。そしてあたりには爆風が飛ぶ。
それが晴れたときには、ヘレニアの姿はなかった。
「逃げられたわね。仕方ない。ねえ、愛田さん、私とお付き合いしてくれない?私、尽くすタイプよ。」
青鮫ヤミは突然話を変えた。
彼女の目は血走っている。正直、ちょっと怖い。
「ええ、えっと、遠慮させてもらいます…」俺はたじたじとなりながらそう言った。
美似も俺の前に立つ。
「ヤミ、だめよ。いっちーはヘタレだから、いやがるふりをするあなたを無理やり抱きしめてキスなんかしないわよ。」
何それ?ちょっと何言ってるかよくわからない。まあ、とにかくこの女性はかなり危険だと思う。むしろヘレニアのほうがいいくらいだ。
ヒーラーゴールド、いや美似が俺に言う。
「いっちー、ヤミを避けるのはいいけど、ヘレニアもだめよ。性欲に負けないで!」なんか、すべてお見通しのようだ。
俺は話題を替えた。
「ところで、店長は一部始終を見てるよね。大丈夫なの?」
美似が笑う。
「大丈夫よ。いまの戦闘シーンとかはすべて忘れるわ。何も問題なく終わるから。」
問題ありまくりのような気がするが、美似がそういうならきっとそうなんだろう。
でも、どうするのかqな
「店長さんは、エリアマネージャーが勘違いしただけ、という記憶をもらっているから大丈夫。」
ああ、記憶操作なんて恐ろしいことを…。
実は、魔法少女のほうがよっぽど怖いんじゃあないだろうか。
ここまで読んでいたえだいて、ありがとうございます。
更新はゆっくりですが、よろしくおお願いします。
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