医局秘書日記
結糸
第1話 医局秘書になりました。
いろんな事情があって何度となく転職を繰り返してきた私ですが、ハロワの求人でふと目に留まったのが某大学病院での医局秘書のお仕事。
求人内容を見るとどうやら医療事務の仕事らしい。数年前だが、医療事務の資格は持っている。
しかも5年間の期限付き。
これは国の政策で、有期雇用から5年以上働いたら無期雇用に転換するというお約束をしなければならないため、無期雇用にしたくないがための大学側の契約である。
こう考えると、5年間しか働かせなきゃいいんだろって魂胆が見え見えなのだが、飽きっぽい私が5年も勤められればまあいいだろうと思った。
5年経たずに辞めるかもしれないし。
そんなわけで、ハロワで手続して履歴書と職務経歴書を某大学病院へ送って見た。どうせ戻ってくるだろ…と思っていた履歴書は受理され、なんと某大学の総務から電話が来たではないか。
しかもそのとき、一人カラオケしてて慌てて部屋から出た。
急いで電話をかけなおすと、面接に来てくれとの内容だった。もちろん、速攻OKして指定された日時に面接に向かったのであった。
面接当日。リクルートスーツで久しぶりに化粧して某大学病院へ。
面接に行くと、某大学病院の総務で待たされ、次に某科の医局で待たされ、やっとのことで面接。
教授「どういうお仕事だと思ってこちらへ来ましたか?」
私「…? 医療事務のお仕事だと思ってきました」
教授「違いますね」
私「???」
教授「医師の事務の補佐や勤怠管理をお願いしたいんです」
は? 求人票に書いてあることと教授のおっしゃってることが違うんですけど?
医療事務って書いてあったんですが?
私「…そうなんですか。求人票にはそう書いてあったので」
としか言えなかった。
教授「今まで雇用された方々は、これまでと事務の内容が違うことに戸惑ったみたいです。あなたは事務経験はないようですが、やれそうですか?」
私「…経験がないので、特にそういうこだわりはなくできると思います」
とか逆転の発想で言ってみたのがよかったのか理由は聞いていないので定かではないが、後日採用の連絡が来たのでした。
しかし…。なんで求人票の内容と違うこと言われるんだよ。まあ、ほかの面接でもそういうことはあるんだけどさ。
おそらく事務と採用する側と意思疎通がうまく行ってないのだろう。よくあるよくある。
まあ受かったから終わりよければすべてよし。
こうして私は医局秘書になったのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます