第32話

「現状、ここの地理には詳しくありませんが上官が記録した船団を拝見するに海上国家ジャブロー港国のモノかと。」


「ジャブロー。」


「はい、ジャブロー港国は各大陸に支部を持った商人たちが建国した国です。

 軍事力は小国家並みですが彼らは海の全てを知り尽くしているため、下手にモンスターをけしかけられて塩が取れなくなることが痛手ですから誰も手を出そうとはしません。」


もしかしたら、このダンジョンに巣食っているモンスターについても詳しく、そのモンスターがきちんといることを監視しているかもしれなかった.

そのモンスターが居なくなったことは異変とみなして調査に乗り出すかもしれない。

非常に縄張り意識の強いモンスターが去った。


つまりはより強いモンスターがこの海域に来ている可能性か、

餌となる生物が環境の変化によって死んだ可能性があげられる。

最悪の可能性は死んでいること。


モンスターをけしかけられるだけの情報網を持っているのだ。

国に対してもその監視を担っているからこそ恐喝政治ではなく良き取引相手としてやっていけている。


しかし、その脅威の一つとして語られていたモンスターが居なくなった。


即ち信用問題にかかわる。


「船団が最近ここをうろつくようになっているのはそのためか。」


「船団が頻繁にこの近くを通るのですか?

 ならここは重要航路として見られていますね。

 彼らの航路は極秘とされており、数千もの迂回路から近道が存在するとさえ言われております。

 しかし、頻繫に通ると言うことはこのダンジョンには強力なモンスターでも居るのですか?」


「鯱蛇が現在第一階層に居る。」


「鯱蛇?」


「知らないのか、なら映像を見ろ。」


「映像?」


「この水晶から移る写し絵だ。」


「これはすごい、モンスターの姿がまるわかりじゃないですか。」


「それでこれがなにかわかるか?」


「はい上官!

 おそらくクリフォト帝国では一国を滅ぼしたと記録されています。

 私の国ではリヴァイアサンと伝説に残っております。」


「リヴァイアサン、それは大層な名前がついているな。」


「そうなのですか?

 初代皇帝が命名したと言われておりますが、

 上官には違和感が感じられるのですか?」


リヴァイアサンとは独裁者の象徴として社会科の授業で習うのは常日頃である。

独裁者の象徴としてのリヴァイアサンという命名とその国の言語を鑑みるに地球もしくはそれに準ずる宗教観のある世界から来ていることは間違いない。

軍事力とかはそもそもが最先端技術の集合体。

宇宙関係のこともそこそこ知っておかなくてはミリオタとはいえぬ。

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スライム道

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