第10話 供物の祭壇
供物の祭壇
スライムを倒し終えた頃。
「隊長、今度は供物の祭壇です。」
「供物の祭壇だと。」
供物の祭壇は読んで字のごとく、供物を正しい順番で捧げる必要のある特殊な知恵の門だ。
供物をささげるのには物語があり、その物語に沿った順番で供物をささげる必要があった。
かつて天高くそびえ立つ山脈で根を下ろした野菜たちが居た。
彼らは屈強な水のない、仙人のような生活を送っていた。
丸は土を喰い、我々に力の身を与え、
髭を生やす仙人は霞を喰い生き、我々に疲れを忘れさせる
時に千の知恵を持つ長老は、我々に作物を与えた。
この山脈に眠る大地の息吹を継承せしモノたちには寿命が存在す。
寿命は周期になり時期を決め、大地の息吹を継承せし王たちの順を決めん。
動きの王を発とし静の王を終とす順をもって王足りえる供物を捧げよ。
「これら、供物に順番などあるのか。」
「私も存じ上げておりません。
先ほど取れた作物を献上していけばいいのでないかと推測は出来ますがどのような順番とはなんとも。」
「作物には順番はあります。
ただし、私はこの物語から推測は出来ませんが作物を植えるにあたりまして順序があるのは知っています。」
またもや田舎の男爵が話し始めた。
「作物を植える順番を間違えると土が枯れるのです。
あそこにあったタネはダンジョン産ではありますが、
似たようなタネの順番だとトマトと、ジャガイモ、トウモロコシなどは同じ時期に飢えますし、
それ以外にもコメという植物は秋に実がなるように作付け致します。」
「では一先ずその順で作物を捧げてみるか。」
「は!」
男爵は自分の領地で植える順番に作物を入れた。
すると作物は光に包まれ精霊が舞い降りる。
この精霊が供物を気に入ればよし、失敗すれば何かを失う。
「不味い、なんだこの供物は、不味すぎる。
このような供物をささげた貴様らには罰を与える。」
「な、お、お待ちを私たちは何が間違っていたのですか。」
「不味い。
このダンジョンの主は貴様らに敢えてミスするように育てさせた。
我に与える供物のことを考えれば最初からやり直してこい。」
ミスとはいったい何なのか。
祭壇の精霊は答えをただで教えることは無い。
そして絶対なる力を持って侵入者を排除する。
何度でも挑戦できると言えば挑戦できるが、それは精霊の気分次第。
作物はその土地によって植え付ける時期は異なって当然だがそれが正しいとは限らない。
原産地に近づけてやるのが最も植物にとっていいことであることを異世界の人間たちは知る由もなかった。
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スライム道
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