プロローグ~チートがあれば何とかなる?
虎千代の記憶が流れ込んできた後、そのまま深い眠りにつき目を覚ますと朝になっていた。
身体の上にかけられていた布をどけ起き上がると部屋の隅で待機していた侍女が慌ててまだ横になっているように促すも、特に身体の異常は感じない為、大丈夫と言い、部屋を見渡すと、枕元に黒光りする大きな箱が2つった。
1つは、見事な鳳凰? 朱雀? が描かれていて見るからに高価そうな箱。
もう一つは絵などは描かれていないもののそれでも高価そうな箱。
何が入っているのかと思い、鳳凰の絵が描いてある箱を開けると当世具足にファンタジー要素を取り入れた深紅の鎧と立派な見た目の太刀に小太刀、守り刀が入っていた。
ってどう考えてもこの鎧、今の身体にフィットしないよね? いやフィットしても困るんだけど、かといって今後成長して身体が大きくなってもサイズが合うかも分からないし、これをどうしろと?
そしてもう一個の箱を開けるとそこには電車に乗った時に持っていた物が入っていた。
中身を出して確認すると、ビジネスバッグにはノートPCにスマホ、筆記用具類、ポケットティッシュ4袋、歯に優しいキシリトールのガム、のど飴、ライター2個、仕事の書類。
背負えるキャリーバッグには、傑作まんじゅうとのキャッチフレーズでお馴染みの福岡土産、練馬駅で買った石神井城にまつわる人の名前を冠した最中、そして着替えやタオル、日本の風邪には…と冬になるとよく聞くフレーズの風邪薬。
エコバックには、ドラッグストアで買ったシャンプー、リンス、ボディーソープに石鹸に歯ブラシ、歯磨き粉、晩酌用に買った日本酒一升、お徳用カルパス、夕飯にカレーを作ろうと思って買った、牛肉、ジャガイモ、ニンジン、カレーのルー、板チョコ、ストーブの上で焼き芋しようと思って買ったサツマイモ、アルミホイル、後はインスタントコーヒー、スティックシュガー。
ただ何故か着ていた服と付けていた腕時計は箱の底の方に無造作に突っ込まれていて服は荷物の下で潰れ皺くちゃになっている。
せめて畳んで入れろよ!!
そして何処にもタバコは入ってなかった…。
そう言えば練馬駅で下車しコーヒー店で一服した際に最後の1本吸った後、買ってなかった。
とりあえず全部外に出して所持品のチェックをしていると侍女に目を覚ました事を伝えられた父と母がやって来た。
荷物を広げている光景は見るからに悪戯して部屋を散かした子供、多分怒られるかもと思ったけど、意外と何も言われなかった。
「虎千代、身体はもう大丈夫なのか?」
「はい父上、元気一杯です。 ご心配をおかけいたしました」
「そうか、それは良かった。 してその品は何だ? そなたが病に倒れ床に伏している際、ワシらや侍女が目を離し戻って来たらそこにあったのだが、蓋は開かぬし重たくて動かなかったのだが…」
「これは私が天から与えられた物です。 と言っても信じられないでょうが」
「いや、其方が目を覚ます前にワシを含め多くの者が夢を見た、夢に出て来た身分の高そうなお方が言うには我が豊嶋家を救い、国を統一する為に黄泉に行こうとする其方を呼び戻したと」
「左様でございますか、私も同じように国を統一せよと言われ、これを与えると、ただ黄泉の国に行こうとしていたとは言われませんでしたが…」
そう言うと、父は「其方もお告げを受けたのか!」と笑顔を浮かべ、その後、部屋に並べられた品々を見ながら首を傾げ、指で突っついたりしているので一通り説明をする。
そうだよね、見た事も聞いた事も無いものばかりだから興味津々だよね。
説明をした後、家族で食事を摂り、自室に戻るとPCを起動してみる。
夢の中で聞いた知らない声の人の言葉が本当なら使えるかもしれないからだ。
画面が立ち上がりエクスプローラーをクリックすると検索エンジンの画面が開く。
「やった!!! ネットが使える! という事は先生に色々と聞ける! これだけでチートじゃん!!」
突然のハイテンションに両親は絶句してるけど、今は気にしてる余裕はない、一緒にこの世界に送られてきた物がどの程度使えるのかの方が重要だ。
色々と所持品を調べた所、スマホも電波は入っていないもののネットに接続出来て検索もできる。
メールは使えないかと思い試しに携帯からPCのフリーアドレスにメールを送ったら届いた。
だが元の世界の親父にメール送ったらエラーにはなったけど、持っているスマホとPC間ならメールのやり取りができるっぽい。
まあやり取りする人は今の所居ないんだけど、何かの役に立つかも…。
そして最大の問題である豊嶋家が滅びた年を調べる。
確か声の主は1469年と言っていたけど調べた結果、1477年に起きる江古田原沼袋の戦いで負けて滅びるらしい。
という事は後8年、今俺は5歳だから13歳に豊嶋家が滅びる予定だからそれまでに何とかしないといけない訳だ。
ただこのチートアイテムがあれば8年でそれなりに豊嶋領で富国強兵を実現できるはず。
問題は5歳児のいう事を当主であり父である豊嶋泰経が聞いてくれるかという事だ。
とりあえずものは試しと言う言葉もあるし、父である豊嶋泰経に相談をしてみよう。
だがしかし!! 晩御飯はカレーを食べる!!
と言うか野菜はともかく牛肉は冬とは言え常温でも腐ってしまう。
なので炊事場で侍女に指示を出しカレーを作らせた。
父も母も初めて食べる味に驚愕しお替りをしていた。
因みに余った分は、本日当番だった父の小姓と侍女が食べたが同じく驚愕していた。
そして肉は牛肉だと伝えたら、更に驚愕された…。
この時代、獣の肉は忌避されてたんだよね。
その辺も改善していこう!!
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