第7話 ランクアップ
いつもよりも2時間早く起きた僕は駆け足で冒険者ギルドに向かう。
「すみません!今日もゴブリン退治の依頼受けます」
「はい。そんな早口にならなくても依頼は逃げませんよ」
依頼書を受け取りテキパキと仕事するお姉さん。
ハンコが押されると、依頼書片手に装備を借りて森に向かった。
………森に入ると2匹のゴブリンに遭遇。
すぐに倒してステータスボードを確認すると、やはり片手剣の基本と身体強化の数が増えている。
「これで確信した。『スキル重複』とはつまり同じスキルを何度も取得できて、さらにその効果が重複するという事だ!」
ようやく理解できた。僕のオリジナルスキルは確かに非戦闘用だったが、それを補って余るほど強力。勇者や賢者のスキルにも匹敵するかもしれない。
にやけ顔が止まらない。僕を馬鹿にした連中を見返せるかもしれない。
効率よく強くなるなら、
石をゴブリンに当てる→剣で倒す
を繰り返して、投擲、片手剣の基本、身体強化を一気に取得していくべきだ。
森の奥から聞こえる鳴き声に、僕は顔をにやけて近づいていった………
今日の戦果は、ゴブリン34匹。
『スキル重複』の効果を理解した僕は、順調にステータスを上げていき、狩りも早く行えるようになっていた。
「さてと、今日はこれくらいで良いかな。帰って依頼達成申請してこよ」
冒険者ギルドにホクホク顔で入っていくと、金髪で身長高めの中級冒険者らしき人物と肩がぶつかった。
「あん!?どこ見てんだガキが!………ん?お前見たことあるな?……………あっ!お前スキル適性値Gだったやつじゃねえかよ」
ひとりごとがうるさい奴だな。そういえば適性の儀の時に野次冒険者が沢山いたが、こいつもいたのだろうか?
「おいおい、お前スキルもねぇのに冒険者やりにきたのかよ。大人しく家に帰ってママのおっぱいでもすすってな!」
ゲラゲラ笑いながら僕を押し倒すと、唾を吐いてギルドから出て行った。
周りは、クスクス笑ってる人と、差別的な目で見る人と、無関心な人と……
最近は受付のお姉さんや、タナカさんが良くしてくれていたから、忘れかけていたが、スキル適性値が低い奴は、普通こういう扱いだったな。
まぁいいさ。いつか強くなって、見返してやるんだから。
苛立ちを覚えながらも、依頼達成の報告を行った。
「はい。依頼達成ありがとうございます。そして、これでケインさんはEランクになりました。おめでとうございます。」
いつものように依頼達成を報告したらそんな言葉が返ってきた。
「え!はやくないですか?まだゴブリン退治2件こなしただけなのに……」
「いえ、他にもどぶさらいや犬の散歩、絵本の読み聞かせ会等をしましたよね?」
そういえば色々やったけど、あれもランクアップに繋がるんだ……
「では!カードを交換させていただきます」
新しいカードは赤だった。
名前 ケイン
Lv2
体力 167/169(144)
魔力 159(104)
筋力 761(105)
速度 158(103)
肉体硬度 142(87)
魔力強度 175(120)
幸運値 25
スキル
ステータスボード
スキル重複
投擲×50
片手剣の基本×55
身体強化×55
称号
無し
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます