フラミンゴ柄の靴下

今日も忙しく動き回ってお腹がすいたので、帰りにコンビニに寄ってピザまんを購入した。


これから夜寝るまでが私にとっての幸せタイムだ。


早速紙包からピザまんをだして頬張ろうとよそ見をした瞬間だった。


ドンッ。


後ろから何かが当たり軽めに転んでしまった。と同時に買ったばかりのピザまんが道端にコロコロ転がっていく。


あ~・・・私のピザまんが・・・。


遠い目でピザまんを見つめていると後ろからどこかで聞いた事がある声が聞こえてきた。


『す、すいません。ついよそ見してました。大丈夫ですか?』


座り込みながら振り返ると先に足元が目に止まり私は言葉を失った。


これは・・・ピンクの・・・。


『フラミンゴ柄の靴下だ。』


『えっ、フラミンゴ?』


『あっ、すみません。こちらの話です。気にしないで下さい!』


焦ってぶつかってきた相手を見上げるとそこにはいつも笑顔がトレードマークの仲村先生が困惑した顔で立っていた。


!?


『怪我はありませんか?』


そう言って差し出してくれた手に支えられてゆっくり立ち上がる。


『ぜ、全然大丈夫ですので、お気になさらず、それでは私はこれで・・・。』


突然の出来事にこっちが戸惑ってしまい私は慌てて帰り始めようとした。


『あ、ちょっと待ってくださいっ!』


『・・・?』


すると仲村先生は急ぎ足でコンビニに行きビニール袋を下げて帰ってきた。


『これ、本当にすみませんでした。』


『・・・・・ありがとうございます。』


渡された紙包を見て確信を持った私は少し恥ずかしくなった。


ピザまん転がったのも見られてたんだ・・・。


『・・・あそこに座って一緒に食べませんか?』


『え?あ・・・・・ハイ。』


言われるがまま気付いたらコンビニの向かいにあった公園のベンチに座り仲村先生と二人でピザまんを食べていた。


しばらくの沈黙のあと仲村先生は意を決したように話し始めた。


『実は、あなたと同じ病院で働いているんです。』


『あ、ハイ・・・。』


『本当です!』


それはまあ、仲村先生が気付いてないだけでかなり有名人ですからね・・・とは思いつつ何も言わなかった。


『いきなりこんな話で・・・不快な想いさせちゃうかもしれないんですが・・・でも、この機会にちゃんとお伝えしておかないとと思って・・・よかったら今度僕とデートしてもらえないでしょうか?』


吹き出しそうになるピザまんをなんとかこらえながら仲村先生の方を見返した。


ニコニコではない真剣な顔。どこかウルウルした瞳とバッチリ目が合った私はそのまま見つめ合いながらなんとか声を振り絞った。


『・・・私なんかとで・・・いいんですか・・・。』


たちまちパァッとした笑顔に戻った仲村先生は私の手を強く握りしめてきた。


『もちろんですっ!僕はずっとあなたとデートがしたいとって・・・あ、すみません、つい興奮してしまって!』


すぐに手を離ししどろもどろになっている仲村先生を見てなんだか可愛いなと思ってしまった。


『二人でどこに行きましょうか?』


帰り道夜空を見上げながらこれからの事について話し始めた。


それは神社にお参りしたからなのか、はたまた占いコーナーの力なのか、どっちもなのか、運命なのか。


とにかく私と仲村先生の恋は、この日始まったんだ。


→スピンオフ 仲村先生へ





   


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