公爵夫人がメイドと入れ替わってしまいました!?

山椒わさび

第1話

朝の眩しい日差しで私は目覚めた。

目の前にはメイドのモリーがカーテンを開けていた。

「おはようございます。マリア夫人。」

「おはよう、モリー。今日はいい天気ね。」

私はあくびをしながらそう言った。

「そうですね。朝食をとったら庭園を散歩でもしますか?」

モリーはニコニコしながら返事をした。モリーは長年私の身の回りのお世話係としてこの邸宅に勤めている。私にとっては身分は違うが良い友達のような存在だ。

「そうね。エーミールを誘って一緒にお茶でも飲もうかしらね。」

ベッドから出て、大きく伸びをした。

「令嬢にお聞きしときますね!」

なんかやけにモリーはご機嫌なのね。まあ、モリーは常にご機嫌か。あーそうだ!忘れるところだった。

「モリー。」

私は手招きをし、モリーをそばに寄せた。

「はい?なんでしょう?」

モリーはきょとんとした顔でこちらに寄ってきた。

「あなたも聞いたことがあると思うけど私がベンゼン伯爵と浮気しているという噂を流しているメイドこの邸宅にいるのね。」

モリーはぎくっとした。やはりこの子はとてもわかりやすい。恐らく、優しいモリーはそのホラ吹きメイドを庇っているのだろう。

話したこともない人を守るような心の優しい子だから仕方ないか…。

「はぁ。」

私は大きくため息をついた。きっとモリーのそのメイドを探し出せと頼んでも探しているフリをし、探してはくれないだろうな。

「執事!」

私は扉の外にいる執事のエラリッヒを呼んだ。執事は失礼しますと言い扉を開け入ってきた。私は彼の顔をしっかりと見て、

「この邸宅にいる私の嘘の噂を流しているメイドを…」

「殺さないでくださいっ!!」

モリーが私を遮って大声を上げた。

「?」

へ?殺す?私は笑いが止まらなかった。

「モリー。殺すわけないでしょう。私が悪魔にでも見えますか?」

私は冗談混じりに言った。モリーは安心して笑った。まったく、この子はやけに馬鹿正直なところがあるからね。さてと、朝食でも食べますか!



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