第5話 答え合わせと…



 俺は古都が何を考えているのか分からなかった。

 初めて会った日は男っぽい服装で男扱いされたがっていたし、きっとなにか事情があるんだろうと思って女の子だけど古都を男扱いするようにした。

 せっかく出会えた趣味の合う親友なんだ。心と体の性別が違ったって、何か理由があって男のように扱われたがっているのかわからないけど気にしなかった。


 そもそも会った初日に男と同居を決めるなんて普通の女の子ならありえない。

 だからこそ特別な事情があるのだと考えて俺は深く踏み込まなかったし、出来る限り男として扱ってきた。



 一ヶ月すぎたら可愛くなってきて妙に距離が近くなって、もう男扱いなんてできねぇよ…


 だけど男扱いされたがっていた理由が分からないと不安が残る。もう聞こう。



「古都は俺に隠している秘密があるよな?」

「…秘密のつもりが晴彦だけが気づいて無かったって話ならあるよ?」



 ええ…初対面の男と同居を決めるようなよほど特別な秘密が…もう直で聞いちゃうか…?



「古都さ…なんか最近めちゃくちゃ可愛いんだけどどうした?」

「ふぇっ!? かかか可愛い!? ちゃんと意識してくれてたの!?」

「意識ってお前狙ってやってたのかよあれ…」



 狙って俺に可愛いと思われたかったとかそれもう…確信に近いよな?大丈夫だよな?

 なるべくおちゃらけた感じで行こう。「俺の事好きなの?」はデリカシーが無いし「付き合ってください」は違ったら気まずすぎる。

 おふざけになりそうな聞き方は…




「古都、もしもだけど俺が結婚してくださいって言ったらどうする?」

「不束者ですがよろしくお願いします!!」



 なんかクロスカウンターが返ってきた。





★古都side



「古都は俺に隠している秘密があるよな?」

「…秘密のつもりが晴彦だけが気づいて無かったって話ならあるよ?」



 ついに!ついにボクが女の子だって気づいたか晴彦!

 …なんでちょっと眉間に皺を寄せたんだい?ねえ女って気づいたんだよね?



「古都さ…なんか最近めちゃくちゃ可愛いんだけどどうした?」

「ふぇっ!? かかか可愛い!? ちゃんと意識してくれてたの!?」

「意識ってお前狙ってやってたのかよあれ…」



 待って待って!!晴彦はボクを男と思っていたはずじゃ!?男で可愛いと思っているのかな!?

 いやいやいやまさかとっくの昔に女だとバレていてその上で可愛いと思っているなんてことは──そしたらもう両思いだね!

 両想いだったら恋人になってー!お付き合いしてー!いずれは結婚を申し込まれてー!申し込まれたら返事はアレだよね!昔から日本人女性のお決まりの奴!



「古都、もしもだけど俺が結婚してくださいって言ったらどうする?」

「不束者ですがよろしくお願いします!!」



 ………うん?あれ?いま結婚した?









 色々と話し合ってちゃんとすり合わせをした。



「ええと…晴彦? キミはボクを初対面から女だと気づいていて男扱いしていたの?」

「古都がそうされたがっていると思ったんだけど違ったか?」

「いえ、違わないデス…」



 そうだ、最初は不審者除けで男だと思わせたかったんだ。同居だって男だと思わせていたら安心だって思ったし。

 一週間もしないうちに警戒解いたけど…



「ボクさ…晴彦がボクの下着を見ても男だと思うほどの鈍感だったから安心してたんだけど」

「お前そんな理由で無防備…いや会った時から無防備だったけど…」

「いやあ…レトロゲーム通信プレイしたかったし晴彦なら平気そうだし、女だとバレなきゃ平気かなーって」

「古都…」



 今思えば本当に良く晴彦と出会えたよね。晴彦、そんな残念な子を見る目で見ないで?



「古都の過去も男扱いされたがっていた理由も分かったけど…それを見守ってて襲わなかった俺に本気で感謝すべきだと思う」

「……最初の一ヶ月は感謝してるよ。それよりほら、両想いだと分かったらちゃんとした告白が必要だと思うよ?」



 ほら晴彦。ボクを男扱いしつづけた罪(だいたいボクのせい)を償う素敵な告白をしてよ。



「あんまりにも残念で心配だから俺で良ければずっと隣で見守っていてもいいか?」

「もうちょっと雰囲気のいい告白が欲しかったよ…」



 色々思う所はあるしだいたいボクのせいとはいえ晴彦と恋人になれた…!今日はお祝いに肉じゃがと生姜焼きを作ろう!ごめんレパートリー今度増やすね。

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