第9話 ゲットインザホール!

〇月〇日土曜 15時


『みかん、ターゲットが邸宅にいるのは確認できた、もうすぐGOサインがでるが、準備はいいか?』と店長のナオトは、2トントラックの運転席からインカムで尋ねた。


『ぜんぜんOk。でもこのトラック本当に揺れないわね。』


『牧村が言った通り、特別なショックアブソーバー搭載してるから大丈夫だ。それより今ターゲットが居間に移動した連絡が入った。もう始まるぞ。』


『いつでもいいわよ。』みかんは、普段より落ち着いていた。今までのミッションだとさまざまな状況やとっさの判断が必要だったが、今回は合図とともにスウィングするだけだと割り切っているのと、かなり練習していたので今までにない自信があった。


『よし、スタートだ。』店長は、アクセルを踏んだ。しかし、少し移動した瞬間、

『牧村、ダメだ邸宅の50メートル先位にトラックが停まってる。このままだと、時速40㎞では通過できない。一旦待機する。』


『わかった、今確認する。』『あー、引っ越し用のトラックだ。あの様子じゃ、運搬にまだまだ時間がかかりそうだ。延期するか?』


『いや、今日しかチャンスがないんだ。ターゲットは来週からタイへ出国予定になってるからいつもどるかわからん。何か方法はないのか。』


すると、みかんがおもむろに尋ねた。

『店長、反対車線は空いてるの?』


『ああ、反対車線は路駐している車はなく、道もすいてるな。』


『じゃあ、反対方向ですすんだら。東からじゃなく、西から。』


『それは、いいけど。それだと、曲がり方向がフックじゃなく、スライスで練習と真逆の球筋になるぞ。できるのか?』


『たぶん大丈夫、どちらかいうと持ち球は、フェードとかスライス系が得意だから何とかなるっしょ!』


『まじか、ほんとにいけるのか。牧村、軌道計算してくれ。』


『了解。みかんくん距離はどうする?』


『スライスで曲がり幅がフックより大きいから、120ヤードでお願い。』


『わかった、メートル換算で109.7メートルだから。。。9.87秒後でショットということは8.37秒でGOだよ。ただ、フックの時は問題なかったが、手前に小さい池と岩があるからそこに落ちたらアウトだ。9.87秒は必ず厳守だ。あと、監視カメラに同じトラックが2回映るのはまずい、ナオト迂回してくれ。』


『みかん、準備はいいか?』


『もう、いつでもいいわよーん、ナオちゃん。』


『バカっ、集中しろ。牧村、こっちは、配置済みだ。指示をくれ。』


『君たち、つきあってるの?そいうのは、最初に言って欲しいよな。』


『牧村、今はどうでもいいだろ。早く指示くれ。』


『わかった。スタートしろ。時速40㎞になったらカウントダウンする。』


みかんを載せたトラックは、引っ越しで駐車しているトラックを横目に通過していった。


『今、ポイントを通過した、約8秒後にGOだ。』

『3,2,1 打て!』


みかんは、ボールに集中しながらバックスイングからダウンスイングに入った瞬間に

日差しが目に入った。『うっ。』と言いながらスイングを終えた。


『みかん、どうだ。』


『ごめーん、一瞬日差しが目に入ったから、少しだけ軌道がズレてダフッたみたい。距離が心配。いやーんお願い届いて~。』


『牧村、状況はどうだ!』


『うーん、ちょっと距離が足りない気がする。塀は越えるけど池ポチャかも。。。。』

『あー、やっぱりだめだ!届かない、池に入る!』

『ん!』『入った、入ったぞみかんくん。ミラクルショットだ。』


『どこに入ったんだ、牧村!』


『居間に上手く入った。よし、とりあえず起爆させるぞ。』


牧村が見ていたモニターから、居間から黒煙が映し出された。


『よし、成功だ!ありがとう、みかんくん、ナオト!』

『ただ、池に入ったハズなのに。。。。。ちょっとビデオ検証してみるよ。』

牧村は、画面をスロー再生しながらズームしていった。


『ああ、そういうことか。よく見るとわかった。確かに距離が足りず、曲がり角度もあってなく、池に向かったんだがそこにいたカメの甲羅に当たってそのまま、居間にインしたよ。』


邸宅から、既にかなり離れた距離を走っていた店長とみかんは報告を聞いて


『なんだよカメって!ラボであれだけすごいのを見たからさすがに今日はみかんの完璧なショットが見れると思ったんだけどな。いつものスナイプと一緒じゃねえか。』


『そうなんだよね、何か当たっちゃうんだよね。でも、結果オーライでOKじゃない。約束通り、今日は焼肉だね。よしシャトーブリアン食うぞー!』


『残念、今日の行くお店は最新式なんで置いてないんだ。オーダーもしなくていいだよ。支払いもサブスク的な感じだし。』


『うー、それただの食べ放題じゃない。それなら飲み放題はつけてね、生ビール付きのね!』


『生ビール付かあ、まあいい。でも1つだけ教えてくれ、なんで急にナオちゃんて呼んだんだ?今まで一度もそんな呼び方しなかったじゃないか。』


『ああ、多分これのせいかな。』とバックから小瓶を見せた。


沈黙の中トラックは東へ進んで行った。







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女スナイパーは派遣社員⁉ 夕哉圭シロー @yuyakeshirou

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