第6話 決して交わらない二人
よし出来たぞ! さすが俺。コージは、30分で修正が完了した。
待てよ、あんまり早く完成したこと言うとまた、難癖つけられて、
修正指示するかもしれないなあ。よーし、ギリギリまで引っ張るか。
そこに、高橋ユウトが入ってきた。
「コージさん、どうですか状況は?」
「そうですね、まだちょっと難しいですね。何となくイメージはあるので、
書き出したら早いと思います。」
(もう、とっくに出来てるよ、バーカ!)
「あ、そうですかお邪魔したら悪いので一旦戻りますね。あと30分なので
宜しくお願いしますね。」
(何チンタラしてんだよ、また来るの面倒臭いだろ。そもそもホントに
出来るのか?)
10分後、再び高橋ユウトは応接室に入ってきた。
「状況いかがですか?」
「あ、いやもう少しで出来そうなんで待ってもらえませんか。」
(もうちょっと待てよ。ギリギリで出したるからなあ。)
「じゃあ、ここで待っときますね。」
(ほんとに大丈夫やろなあ、あとちょっと待って進展なかったら、シロー先輩呼ぶか。)
「はい、分かりました。」
(ちょっと引っ張りすぎたかな。もう一回文書チェックして書いてるふり
しよか。)
コージは、出来ていない芝居をするのが面倒臭くなり、最終章をメールで
送った。
「高橋さん、今メールで送ったので確認してください。」
「分かりました。確認します。」
(お、意外に早くできたなあ。)
高橋ユウトは、最終章を読んでプルプル震え出した。
「あのおー、女スナイパーの話ですよねえ。何で最後毒殺なんですか?
しかも事前に射撃の特訓みたいなことしてたじゃないですか。」
「その辺は、何て言うかなあ、リアリティが無いじゃない。すぐに上手くなるなんて。1年位特訓したら分かるけど、数日だからねえ。それにさあ、
女の子がスナイプして頭が吹っ飛んだりしたらトラウマになるでしょう。」
「いやあ、でもタイトルが女スナイパーは派遣社員ですからねえ。スナイパーじゃなく殺し屋だったら色んな方法とれるから辻褄は合うんです。。。。。。。。。。。」
「いや、でもそもそも、未来の設定を追加したから仕方ないんですよ。」
(まあ、本当は射撃でのトリックが浮かばなかっただけなんだよね。)
「あれ、でも未来ちゃんの設定店長の妹になってますよ。散々否定して
意味不明とか言ってたじゃないですか。」
「妹じゃないですよ、義妹ですよ。全然意味違いますから。」
「いやいや、同じようなもんでしょう。まあ、時間が無いんで良しと
しましょう。根本的な問題ですけど、このアメーバTVのドラマは
恋愛がテーマですよ。主役のみかんは一瞬だけ一目惚れはありますけど、
結局復讐劇ですよね。この話。」
「それは、友達3人追加したから根本的に設定がひっくり返ったから
仕方ないよね。」
(お前が、余計な追加しなかったら元々一目惚れからラブコメに発展して
ただろ。思い出せよなあ。)
「まあ、その可能性はありますねえ。」
(そんな話だったっけなあ。あんまり最初の話覚えてないなあ。どちらかと
いうと、コンペにでた、水色のルージュさんの
『Departure旅立つ前に』方が良かったんだよなあ。)
高橋ユウトは最後に確認をした、
「タイトルはこのまま行くんですね、最後毒殺するけど。」
「はい、それでお願いします。」
「わかりました、じゃあこれで社内に報告しますね。」
SNS事業部の関係者に最終稿としてメールした。もう面倒臭くなっていた。
「ちなみに、コージさん続編があるとしたら前半みたいなコミカルな感じに
しますか、それとも後半の復讐劇みたいなシリアスな路線にしますか。」
コージは少し考えて
「もともと、単発物だから、続編はないですね。」
と即答した。
第7話につづく
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