あなたはヤンデレストーカーを愛してしまった

あっ、目が覚めた?


ねぇ、大丈夫?


君、ずーっと寝てたんだよ?


//涙声

でも、良かったぁ……君が死んじゃったら、私、私……!


……え? 誰?


誰って……私のこと?


え、記憶喪失……?


じゃ、じゃあ、君自身のことは?


覚えて、無い……?


//小声

そっか……


あ、わ、私はねっ、君の彼女だよっ!


で、君は私の彼氏さん! ……あ、同じこと言っちゃった、あはは……


そう、私たち恋人同士、なんだよ……?


えへへ、わかった?


そっか、思い出せないかぁ……


でも、いいよ……君が生きていてくれてるだけで、私、嬉しい


君が忘れても、私は、ずーっと君の彼女だよ


ゴメン……?


ううんっ、いいの、謝らないで


えへへ……でも、君とこうして喋れるの、夢みたい……


あ、あはは、ごめんね


君がいきなり起きるから、ちょっとまだ夢みたいで……


え? デートとかの話を聞いて、思い出したい?


うっ、うん! いいよ、どの話が良い?


って、ごめんごめん、覚えてないんだったよね


えっと、そうだね


私たち、付き合い始めてからもう2年と101日……あ、そうそう、学校に入学した日から付き合ったんだよ、私たち


凄いよねっ、あの日に運命感じちゃったんだもんっ♪


それからは、ずっと一緒に登校したり、一緒に帰るのはもちろんでしょ?


休日も、いつも一緒に過ごしたんだぁ……


お買い物デートもいっぱいしたし、遊園地にも行ったよ?


君が一杯笑顔にしてくれたし、いつも楽しかったなぁ……


んふふ、今思い出しても幸せ


それに私たち、一日も会わなかった日はないんだよ?


毎日毎日ラブラブして、いちゃいちゃして……んふふ♪


どう? 思い出せそう?


……んー、そっか


ま、焦んなくても良いんじゃない?


君が忘れちゃっても、私は君のこと、嫌いにならないよ


むしろ、また一杯、新しいことができるし良いじゃん♪


ねっ♪ だから焦らなくていいし、これからはずっと私の彼氏でいて?


んふふ♪


あ、もう面会時間終了かぁ……


うん、また明日も来るからね


//甘く囁き

じゃあね、愛しの彼氏くん♪


//場面転換


//ドア開け


あ、来てくれたんだっ♪


退院、おめでと♪


さぁさぁ、入って入って?


君にとっておきのプレゼント、用意してあるんだぁ♪


ささ、遠慮しないで入って?


//カギ閉め


……ん? どうかした?


あぁ、写真? んふふー、良いでしょ?


君がすぐに思い出せるように、壁中に君の写真を貼ったんだよ


まぁ、付き合ってた時からずっと貼ってたけど……


あれ、大丈夫?


どうかした? 頭痛い?


……え? 思い出した?


なになに? 何を思い出したの?


……なぁに? その怖い顔


//低音囁き

なにかまずいことでもあった?


ストーカー? 一体何のこと?


私が君のストーカー?


何言ってるの? 私は君のストーカーじゃなくて、恋人だよ?


遠くから君を見守ってきた、君の恋人……


ずっとずっと、君だけを見つめてきた彼女だよ


君にはいつも愛を込めた手紙とか、私を感じられるものを一杯プレゼントしてあげたよね


君はそれを見て……あははぁ♡ 今の顔そっくりだぁ♡


でも、それと同時に……


//甘く囁き

私への愛も、感じちゃってるでしょ


ね、ぎゅー、してあげる……嫌だったらほどいてみて?


//以下、囁き


……ふふ、ほら、できない


君は私に抱き締められるのを止められない……♡


だって、君も好きなんだよ、わ、た、し、の、コ、ト♡


ずっと彼女として看病してあげて、ずっと彼女として接してきたんだもんね


君、記憶喪失で不安だったんでしょ?


そんな中で甲斐甲斐しくお世話してくれて、目の前で楽しそうに笑う彼女がいて、君も一緒に笑って……


私に恋、しちゃったんだよね♡


あは、震えてる♪


記憶喪失になる前の記憶と今までの記憶がぐちゃぐちゃに混ざって、私にどんな顔すればいいかわかんなくなってるんだ♡


可愛い……そんな君も可愛いよぉぉ♡


はぁ……♡ はぁ……♡


早く、食べちゃいたぁい……♡


すっごく不安定な君に、教えてあげる


私の愛は、ホンモノだよ


君を付け回してたのも、君に私の一部を送り続けたのも、こんなに隠し撮りが一杯なのも、ぜぇんぶ、私の愛♡


だから、安心して、私の愛を受け取れば良いんだよ


その方が、二人とも幸せだよ


だって、私、可愛いでしょ?


きっと、君の隣にいさせてくれれば、君は可愛い彼女を持ってる、羨ましい男の子になれると思うよ?


それに……退院もできたし、このお家で、一杯イチャイチャもできるよ?


今すぐ私の部屋に行って、深く愛し合えるよ♡


ねぇ……そう考えたら、ストーカーされてたことなんか、どうでもいいよね


そうだよ、どうでもいいよ


これからのこと、考えようよ♪


今の君……私にぎゅって抱きしめられて、熱くなってきちゃったでしょ


いいの、それが普通だもん


だって、私たち……恋人でしょ?


だから……お部屋の奥、いこっか


丁度、二人きりで寝っ転がれるお布団、敷いてるの


私、本気だよ


仮に、君が思い出した記憶の中で私が彼女じゃなくっても


今の私は、君をどこまでも追いかけ続けるストーカー?


それとも、看病を一杯してくれた、愛しい彼女?


……答えは決まってるよね


んふふ……ふふふ……


それじゃあ、二人でいちゃいちゃ、しようね


私の、彼氏さん……♡

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る