ヤンデレ雪女「私の氷像にしてあげる」

あら、目が覚めましたか?


んふふ、寒い?


えぇ……とっても、寒いわよね……。


だって、これが私の心の中なんですもの……。


何ですって? 言ってる意味が分からない…?


本当に…? 本当に分からないの?


まさか……私のことも分からないなんて、言いませんよね……?


へ……へぇ……そうですか……


私のこと、本当に覚えていないようでしたら、


しっかり思い出させてあげます……


ほぉら……手や足、氷漬けになっちゃった……


どうですか? これで少しは、身体で思い出せたんじゃないですか?


あなたは前に、そういう風に、氷漬けになって、


死にかけていたことがありましたよね……


そこを、私が助けてあげた……


あれは、今思えば運命だったんです……


最初こそ、私はあなたを煙たがりましたが、


それでもあなたは、こんな私に、良くしてくれましたよね……


一日目は、身の回りの掃除や、よく世話を焼いてくれた……


私がどんなにあなたを遠ざけようとも、


あなたはけが人なのに、私に尽くしてくれましたよね…?


あの時、私は思いました…。


これは私を好いてくれているんじゃないか、と……


そうですよね……だって、あなたは出発の日、またここに戻ってくるのかと聞いたら、戻ると言っていたではありませんか……


そう……ですよね…?


戻ってきて、私と、添い遂げてくれるって意味で、言ってくれたんですよね……?


違う……? そんなの覚えていない…??


そ、そんな……嘘です、嘘です……!


あなたは、あんなにも私に尽くしてくれて、短かったけれど、ふ、夫婦のようだったではありませんか…!


私は、それから、ずっと、ずぅっと、あなたが来てくれるのを待っていたんですよ……あなたがしてくれたことを忘れないよう、あなたがお世話でやってくれたことを、何度も、何度もやって、会えないあなたを待っていたんです……


……え? そこまで言うなら、きみが会いにくればよかった……?


……ねぇ、どうして?


どうして、そんな酷いことを言うの?


私、あなたたちが住むところに行ったら、死んでしまう…


ねぇ、私が雪女だってわかってて、そんなこと言ってるの…?


……今まで、私が寂しかったの、分かってくれてないですね……


ねぇ……手足の氷、もっと大きくしてあげますね……


冷たい……?


ふふ、変なことを言いますね。


私の氷なんですから、暖かくて、気持ちいいでしょう?


そうも言ってくれてたじゃありませんか。


君の氷は、暖かくて、俺のけがをすぐに癒してくれる……


そう言ってくれたのは、嘘、だったんですね……


いいえ、怒っていませんよ。


でも、もういいです。


私はもう、あなたなんかいりません。


でも……あの時のあなたが、私は欲しいですから……


あなたを、氷漬けにしちゃいますね♪


大好きだったあなた、優しかったあなた、恋したあなた……


過去のあなたを氷に閉じ込めて、一生、私と一緒にいてくださいね……


寒くて眠くなってきたでしょう?


いいですよ、私だって、好きなひとの寝顔を見続けていたいです。


だから、ここで一生眠り続けてくださいね……


だんな様……

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