ヤンデレ幼馴染「私の愛を知ってほしい」
あっ……きみ。久しぶり。
どうしたの?そんな、浮かない顔して。
わかるのかって、そりゃあ、きみとは付き合い長いしね。
わかるよ、なんでも。
……今付き合ってる彼女と、うまくいかない?
あ、待って、言わないでいいよ。当ててあげる。上手くいってない原因。
ひとつはー、会話が楽しくない、でしょ?
それに、彼女の好みもだんだんわかってきたけど、きみが好きになれてない。
んふふー、当たってるでしょ?
それに、あっちも、でしょ?
ふふ、怖い顔。その顔、彼女さんに見せてたりしないよね?
もしも、その彼女さんとの溝が、わざと作られてたら……?
(カメラ音)
パシャリ。撮っちゃった。
あはははは、じょーだんじょーだん~!
私が裏で糸を引いてるわけないじゃーん。
ただ、当てただけ。どう? すごいでしょ?
まぁでも、見てれば分かるんだよね~。
彼女さんの方も私は多少知ってるし、
なにより、きみとは長い長い付き合いじゃない?
え? 頼み?
彼女と上手くやれる方法を教えてほしい?
……んー、分かった。
じゃあ、今日、私の家に遊びに来なよ。
長話になっちゃうだろうし、
それに、きみも私の家に来るの久しぶりでしょ。
じゃあ、けってーい、ね! じゃ、また放課後!
(放課後、幼馴染の家)
ささ、遠慮なくどうぞ上がってー、親はいないから。
どう? リビング、前と全然変わってないでしょ。
あー、適当に座っててー、って言っても、きみはやっぱり、前と同じそこに座るよねー
…………はい、飲み物。これ、きみの大好きなやつ。
そりゃあわかってるよー、私だってこれ、大好きだし。
どう? 当たってるよね? きみの好きな味。
で、彼女さんのことだっけ?
諦めなよ。
……え? ふざけないで、って、ふざけてないよ?
きみと彼女さんのお互いが上手くやれる方法。
それは、別れて、友達同士になることだよ。
付き合ってる間は、近すぎて衝突しちゃう。相手の悪い部分も見えてきちゃう。
でも、いちクラスメイトなら、どうでもいいじゃん? そのくらいがちょうどいいよ。
……帰る? って、あぁ~……
(倒れる)
いきなり立ち上がるからだよ~。けがしてないよね……
眠いよね、くらくらするよね、ぼんやり……するよね…………
とりあえず、眠っちゃおうか。
(場面転換)
あ、起きたね……って、いきなり叫ばないでよ。
……っと、猿轡してるきみ、珍しいね……撮らなくちゃ……
手と足を縛られて、口もきけないきみ……かわいい…………
(連続のシャッター音)
あっと、ごめんごめん、わけ、わからないよね。教えてあげる。
ここはね、私がきみをね、
ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと
撮り続けたり、きみの髪の毛とか爪とか、何かに使ったティッシュとかを
集めた、「コレクション部屋」なんだぁ……
ほら、これとかさっきの君の怒った顔、それに苦笑いしてるきみ、
一番のお気に入りは、えっと、一昨年の8月12日に、私が勉強を教えてあげて、テストでいい点を取った時に感謝してたすっごいまぶしい笑顔だよ!
ううん、きみは勘違いしてる。だから「気持ち悪い」なんて表情になっちゃうんだよ。
私はね、誰よりも、きみよりもきみを知ってる。分かってる。分かってあげられる。
だから、私はきみの「一番好きな彼女」になってあげられる。
だから私は、きみが多少他の女のところに行っても、絶対に合わないってわかってたから、きみのデートの様子を見てるだけで良かった……
でもね……私はきみが他の女と笑いあってるのは、すごく、つらかった……
でも、だけど、きみの幸せそうなところを見たら、どうしようもなくて……胸の中がぐちゃぐちゃして、吐きそうになって、頭がガンガンして……でも、きみの笑顔で満たされて……
だから、ちょっと、耐えられなくて……きみとあの女の仲が悪くなったこの機会しか、もう、ないと思って……
この部屋のきみぜぇーんぶが私には必要だし、私はこの部屋全部を愛してる。
……わからない? 私はわかるよ、きみの、今の気持ち……
ううん、わざわざ口には出さないよ、だって、悲しいから……
でもね、私は嬉しいよ。きみがここに来てくれたから、私の「コレクション部屋」は完成したよ……
すっごい暴れてる……不安なんだね、怖いんだね……
大丈夫だよ。よーしよーし。
きみが他の女にたぶらかされてた分、その女に不安にされた分、疎遠になった分……いや、それ以上に、きみを愛してあげる……
私を見たら、私を感じたら、私に触れたら、「幸せだよー」ってなれるように……
きみに私の愛を、教えてあげるね……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます