第20話一応その理由を聞いてみる

そんなこんなでわたくしは妄想で先生の話を乗り越え、授業前の休み時間で早々に席を立ち裏庭へと向かう。


そもそも体力的に一日を通して授業はできないので単位の足りている科目についてはこうして裏庭でサボるか保健室で横になるかでやり過ごしている。


「はぁ、はぁ、そ、それにして、この身体はきつすぎるでしょう」


裏庭と言っても学園の敷地内にある訳で校舎からそこまで離れている訳でもないにもかかわらずわたくしの身体は急な坂道を登り切ったかの如く息切れし、体力も当然使い果たしているので思わずふらついてしまう。


あ、これ倒れるな。


そう思うもののここから立て直せるだけの力があるのならば、ここまでわたくしは苦労等しない。


ならば、無駄に足搔くだけ体力の無駄なので、重力に逆らわずこの身を任せる、目を瞑って来る衝撃に備えるのだが、その衝撃は一向にわたくしに訪れる事はなかった。


「あ、危ないところだった…大丈夫……か……………………マリー……」

「あ、ありがとうございます……わ………………ウィリアム……?」


倒れそうになったわたくしの身体を支えてくれた殿方がいたみたいで、わたくしはその方にお礼を言おうとし、顔を向けると、そこにあったのはあの日わたくしを押し倒したウィリアムであった。


「こんな所で何をしている。また何か悪だくみでもしていたんだろう?どうせ」

「わたくしを助けて頂いたことは感謝いたしますが、わたくしの事がお嫌いでしょうし、早くどこかへ行って下さいませんか?目障りです」


助けて頂いたことは素直に感謝するものの、これでは休むこともできずにわたくしの体力ゲージがいよいよマイナスへ振り切れていく。


早く人目のない場所でシートを敷き、横になりたいのだ。


このようなはしたない姿、見せれる訳が無いので早く視界から消えろと言うのだがウィリアムは一向にわたくしから離れる気配を見せない。


「は?お前を一人にする訳ないだろう」


これが愛する異性からの言葉であったのならばどれ程嬉しい言葉であったか。


しかしながら、目の前のウィリアムが愛の囁きとして口にした訳でもない事くらいわたくしでも理できるのだが、一応その理由を聞いてみる。


「分かりきってはいますが、一応お聞きいたしますわ。何故わたくしを一人にしてくれないんですの?」

「お前みたいな性格の悪い令嬢が一人でこんな所にいる理由など、何か疚しい事を企んでいるからに決まっているからだろう。それを阻止するためにも見張らさせてもらって何が悪い」

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