第77話初めてで来た自慢の友達
そしていざパーティーを開催して驚くと同時に納得もした。
シャルロットはカイザル殿下へ婚約者解消の解消を突っぱねて、そのまま自身の愛する異性を罠に嵌めたのであると。
その一連の流れは華麗であり、まさに肉食獣が獲物を捕らえるかの如く、気づいた時にはシャルロットは有無を言わせず婚約者としてしまったのである。
シャルロットの意中の男性であるブレットという方も、カイザル殿下主催のパーティー、それも多くの貴族がいる前では嫌だと言なかった事であろう。
まさに、見惚れてしまう程の光景であった。
そして私は気づいてしまう。
私に足りなかったのは自ら動く行動力であると。
「そ、それは良かったですわね?」
その事を熱くシャルロットけ語ると、彼女は「良かったですねと」と褒めてくれるではないか。
やはり私の考えは間違っていなかったのだ。
だって、本人からお墨付きをただいたんですもの。
間違っているわけがありあませんわ。
「そ、それで、シャルロットへお願い事があるんですけれども……」
「は、はい、何でしょうか? わたくしにできる事であればお手伝いくらいはさせて頂きますわ」
「まぁっ! シャルロットならそう言っていただけると思っておりましたわっ!!」
そして、わたくしのお願い事をシャルロットは聞いてくれると言うではないか。
さすが、わたくしの初めて出来た自慢のお友達ですわっ!!
今まで妃としての教育が厳し過ぎであるのと、私自身が公爵家ということもあり友達は一人もいなかった。
お茶会なども開いても、皆私ではなくその肩書と関係を繋ぎたいという表情をしており、その事は簡単に分かってしまう程皆顔と態度に出ていた。
その為私ではなく、私を通してヘンドリク殿下とお近付きになりたい、何なら第二夫人、いや、妾にでも、という思考が筒抜けであり、とてもではないがそういう者達とお友達にはなれそうになかったし、そもそも彼女たちは私の事なんか見てすらいないのだ。
そんな人達と、私を見てすらしていない人達とどうすれば友達になれるというのか。
恐らく私には一生友達という者はできないとすら思っていた。
ヘンドリク殿下の婚約者でなかったら、とは思うものの、結局『ヘンドリク殿下の婚約者であり将来の妃候補』という肩書が無くなった私にはどれ程の価値があるというのだろうか?
その『ヘンドリク殿下の婚約者であり将来の妃候補』という肩書を下ろした事がない為どうなるのかは分からないのだが『ヘンドリク殿下に婚約破棄をされた令嬢であり、付き合ったらヘンドリク殿下から睨まれるかもしれない』と思われるのであろう事は理解している。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます