第33話いっそブレットを襲ってしまおうか
「好きだ。世界で誰よりもシャルロットのことが好きだ。 もう誰にも君を渡したくない」
「……は、はい」
その瞬間、パーティー会場は割れんばかりの歓声で包まれる。
になみにレオポルト殿下は先ほどからずっと顔を真っ赤にしてプルプルとずっと震えているのですけれども何をしたいのでしょうか?
マナーモードの真似でもしているのだろうか?
「今他の男性を見るのは、少し妬けるな。 そんでもって、シャルロットが俺のことを逃さないと思っているように、俺もシャルロットの事、逃がさないから覚悟しとけよ?」
そんな事を思っているとブレットが急にわたくしの耳元で、吐息が掛かるほどの距離でそんな事を言うではないか。
ただでさえ前世から恋愛経験の少ないわたくしはその一撃でノックダウンされてしまい、顔を真っ赤にして俯く事しかできなくなってしまう。
そして、当のブレットはというと、まるで悪戯が成功した子供のような表情でわたくしを見て来るではないか。
お、覚えておきなさいよっ!!
し、しかし……ほ、本当にブレットはわたくしに愛の告白をしたという事で間違いないのでしょうか?
そして、わたくしの告白は成功したという事で良いのでしょうか?
むしろこれで成功ではなければ何が成功なのかと問いただしてやりたい。
今、私はきっと世界で一番の幸せ者だと確信して言える。
そして本日のパーティーは終始お祝いモードで、とても楽しい一日であった。
約一名を視界に入れなければ。
流石のレオポルト殿下もあの告白を見て、両想いを果たしたカップルの女性を強引に奪い去り、権力を行使して婚約を迫る事はできなかったようで、終始怒りを我慢しているように見受けられたのだが、はっきり言って自業自得であるとしか言えない。
王位継承権第一位という肩書を使えば、またわたくしと婚約できると思っているのならば、その考えは流石にわたくしを馬鹿にしすぎているだろう。
そもそも、婚約破棄の時に交わした正式な契約を破ってきたのはレオポルト殿下の方である。
意趣返しされて怒るなどお門違いも良いところである。
そんな、様々な思惑や感情もありつつ、パーティーはなんの問題もなく終わるのであった。
◆
そう思っていたわたくしが馬鹿であった。
パーティーとは、家に帰るまでがパーティーなのである。
今、王都でも一番と言われるホテルの一室。
そこにわたくしとブレットがいた。
それがどういう事か、若い男女が同じホテル、同じ部屋にいるのがどういう事かわかるだろうか?
はっきり言って興奮し、発情し、どう発散すれば良いのか分からなくなっていた。
いっそブレットを襲ってしまおうかとも思うが、僅かに残った理性が『流石に乙女としてどうなの』と引き止めてくれるお陰でなんとか襲わずにいる。
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