第29話やっと皆様もわたくしに追いついた

 わたくしは執念深いんですの。絶対逃しませんわよ?ブレット。


「貴様、俺の婚約者であるシャルロットに触るんじゃない……。今ならば一週間の禁固刑で許してやろう。 しかし、これ以上は不敬罪とさせてもらうが?」

、婚約者であり、シャルロットを捨てたのは他ならぬカイザル・ユリウス・レオポルト殿下ではございませんか。 冗談も度が過ぎれば冗談では片付ける事ができなくなりますがよろしいのですか?」


 そして、これからどうやってブレットの外堀を更に埋めて行こうかと、将来の幸せ実行計画を考えているわたくしと、そんなわたくしを奪い合う為に互いに牽制しあうブレットとレオポルト殿下に、そのただならぬ二人の雰雰囲気で凍り付く周囲の貴族達とジワジワ増えていく野次馬達。


 そんな中レオポルト殿下の側仕えらしき執事がレオポルト殿下へ耳打ちする。


「ふむ、成る程。……ブレットと言ったか? 君は確かランゲージ家の隣の領地を治める伯爵家だと言うではないか。 王家が授けた爵位のお陰で贅沢な暮らしを過ごせているにも関わらず、恩で仇を返すような行為に発言、吐いた唾は飲み込めぬぞ?」


 そしてレオポルトは脅迫、並びに貴族を見下す発言を貴族達が野次馬として集まっている・・・・・・・・・・・・・・・中心で宣うではないか。


 流石にこの発言を聞いて貴族達の表情は強ばり、感情を上手く隠しきれないまだ若い貴族の中には引いている者や怒りに耐えているような表情の者たちも見受けられる。


 そもそも、民あっての貴族、民と貴族あっての王族なのだ。


 王族あっての貴族などありえないし、貴族や民無き国は国では無いのである。


 その事を知っているのなら先程のような言葉は思っていても決して使ってはならぬと理解出来ているはずだ。


 それが出来なかったレオポルト殿下はこの発言により教養の無さと感情をコントロール出来ない未熟者という評価をここに居る全員からされてしまったであろう。


 現時点では長子というだけで王位継承権第一位に選ばれているだけである。


 その上もともとランゲージ家との破談で先見の目がない、女性にだらし無いというレッテルを貼られている所での今回の件である為に、それが決定打となり覆ってしまう可能性がかなり大きくなった。


 そんな事になっていようとは微塵も思っていないであろうレオポルト殿下はブレットを見下し、勝ち誇っているのだから、貴族達の評価もあながち間違っていないだろう。


 わたくしに関しましては婚約破棄をされた時点で見限っておりますので、やっと皆様もわたくしに追いついたという感覚である。

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