第251話 そんなに慌ててどうしたのかね?
そして俺はなんか嫌な予感がするので早急に賊どもを縛り上げて衛兵に突き出すようにブラックローズのメンバーへ引き渡す。
因みに俺がこの賊どもを衛兵へ突き出すようにブリジットへ言うと、ブリジットは「分かりました」と返事をした後二回手を叩くとどこからともなく二人の奴隷が現れ、その者達へと賊を引き渡していた。
その光景を見ても驚かなくなった俺は、『あぁ、これが俺の日常になったんだな……』とハイライトが消えた目でその光景を眺めながらそんな事を思ってしまう。
「では、もう攫われるんじゃないぞ?」
そして俺は先程賊を蹴り飛ばした辺りから恋する乙女の表情で俺を見つめているスフィアにそう声をかけると、一刻も早くクロード姫の隷属契約を破棄するためにその場から離れるのであった。
◆
「嫌だっ!!」
「そうだよな。 今すぐ奴隷契約を解除してやるからな。 俺の奴隷達が勝手にしてしまって申し訳な……はい? いまなんて言った?」
そしてとりあえず俺は実家にクロード姫を連れて俺の奴隷が勝手にクロード姫を奴隷にしてしまった事を謝罪して奴隷契約の解除をする旨を伝えるのだが、聞き間違いだろうか? 先ほどクロード姫の口から「嫌だ」と聞こえたような気がしたのだが……。
しかしながら勝手に奴隷にさせられてしまったのにそれを解除するのを断る意味が分からないので恐らく俺の聞き間違いであろうと判断してもう一度クロード姫に問いかける。
「い、嫌だと言っているっ!!」
「は? え? 何でっ!? 俺の奴隷なんかクロード姫だって嫌だろっ?」
「い、嫌じゃないと言っているっ!! な、何故だか分からないのだがお前の奴隷のままでいたいと思ってしまうから仕方がないだろうっ!!」
しかしながらやはり俺の聞き間違いなどではなく、クロード姫は奴隷解除を拒むではないか。
これは面倒くさい事になったぞ、と俺は頭を抱えたくなる。
そもそもこの奴隷契約なのだが契約時には本人の同意は必要なく行使できる(法律上は必要とされているが犯罪奴隷等の場合は例外とされる)のだが、解除する時は奴隷側が求めていないと解除できない為このままではクロード姫を奴隷から解放できないではないか。
しかも事もあろうにクロード姫の奴隷である証の奴隷門はうなじにある為、入浴時などに間違いなくクロード姫の使用人にバレてしまうだろう。
その結果このままでは遅かれ早かれ皇帝陛下の耳に入ってしまうのは免れない……。
「おやおやカイザル君。 そんなに慌ててどうしたのかね?」
いったいどうすればクロード姫を納得させられる? と考えていたその時、俺の部屋へノックをしてから一人の男性が入って来るではないか。
「こ、皇帝陛下っ!?」
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