第236話 不思議な力

 その瞬間、時間が止まった気がした。


 しかし、私たちはここへカイザル様へ夜這い、すなわち子作りをしに来たのである。


 そして唐変木であり恋愛事にはびっくりするほど鈍感なカイザル様のことなのでここは変に遠回しで言ってしまうとどうせいつもの感じで有耶無耶にされてしまうので私たちがここへ来た事の意味が、ここへ来るまでに背負ってきた者達の魂を無駄にしない為にもここはど真ん中に直球を投げなければならないと私は判断したのである。


 決してこの流れでそのまま何も考えずにカイザル様がイエスと首を縦に振ってくれる可能性が一%でもあるからここは全ベットして勝負に出たとか、そういうのではないから勘違いしないでほしい。


 だからカランドールとモーリーは私をジト目で睨みつけるのは即刻やめていただきたい。


 むしろヒヨって言えなかった二人の代わりに私がブラックローズを背負って言ってあげたのだから感謝してほしい限りである。


 そして私はカイザル様の返答を待つのであった。





 最初に思った事は『何をしているのだ? こいつらは』である。


 ただでさえ遊び半分で仕掛けた敵捕獲用のトラップがまさか作動するとは思っていなかったし、しかも捕まっているのがブリジットにカレンドールにモーリーという顔ぶれではないか。


 俺はてっきり迷子になって眠る部屋を間違えて俺の部屋に入ってきた新人奴隷か誰かかと思っていたのだから普通にびっくりである。


 ちなみに毎日一度は新人奴隷の誰かが『すみません、新人なもので部屋を間違えてしまいました』と俺の寝室へと誤って入ってきていたりする。


 そもそも奴隷達には奴隷達用に離れに寮を作ってあげたのだが、なぜだか建物か異なる俺の寝室へと来るので、俺の中では何か不思議な力が作用しているのではないか? と思いサラに聞いてみたところ『えぇ、それはもう不思議な力恋する乙女パワーは存在しますからねぇ』と言っていたので、やはり何かしらの力は作用しているようである。


 そして今日も新人奴隷だとばかり思っていたのだが、罠にかかったのは俺の同級生でもあるブリジット、カレンドール、モーリーの三名であった。


 はっきり言って何故彼女達三名が真夜中に俺の寝室へと入って来たのかは分からないのだが、それについて深く考えたらダメだと脳がアラームを鳴らすので考察することは止めた。


 しかし、せっかく俺が有耶無耶にしようとした所で何故か焦っているいつものメンバー達がおねだりをしてくるのでいつも頑張ってくれてるご褒美感覚でおねだりをしてくるのでカレンドールにモーリーと、首を縦に振ってあげる。

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