第211話 わたくしは魔術師ですわよ?
全く、このメンバーはわたくしがいないとダメダメですわね。 本当、世話が焼けるメンバーです事。
「あ? 何だぁ? お前たち」
「しかし、上玉ですぜ? リーダー」
「確かに、これは高く売れそうだな。 おい、コイツらはどのくらいで買い取ってくれる?」
「そうだな、ここまでの上玉と中古奴隷だとしても一人当たり金貨三枚でどうですかね?」
「交渉成立だな。 おいお前たち、コイツらが逃げないように囲っとけっ!!」
そして、賊達はわたくし達を見ても逃げるどころかわたくし達を売った場合のやり取りをしているではないか。
ここ最近違法奴隷を売買している者達が襲われているという噂はこの者達の耳には入ってきていないのだろうか?
それとも、入ってきているのだが、所詮襲われているのは帝国側の組織だけであったため王国側が同業他社を排除させる為に仕向けた暗部部隊が秘密裏に行なっている事であり、王国側の自分達は狙われないとでも思っているのだろうか?
この場合は裏で生きる者達に今帝国側の同業者が潰されて行っているという事が耳に入っていないわけがない為どう考えても後者であろう。
「それにしても、危機感がなさすぎますわね」
そしてわたくし達はそんなもの達を見て深くため息を吐く。
志は違えど同じ裏で生きる者同士だというのにこうも仕事に対する意識がわたくし達と比べて低すぎるのをみるとため息の一つや二つくらい吐きたくもなる。
彼らの仕事に対する意識の低さをみる限りどうせこの者達も大した事はないのであろう。
ならば後はいつも通り殴り潰して奴隷に堕とすだけである。
「おい、コイツらを傷つけない程度に痛ぶってこい。 一応商品だからその事は忘れるなよ?」
「へいへい、分かってますって。 じゃあ俺はそこのエルフの嬢ちゃんにしようかな。 その首輪を見る限る既に誰かの奴隷みたいだけどそんなのは捕まえて奴隷契約を上書きしてしまえばいい。 しかも中古だからどうせあっちの方も中古だろうし、初物と違ってこんな上玉を味見し放題とか本当に今日はついているぜ」
そして、わたくしが彼らにガッカリしていると一人の無精髭を生やした剣士風の男性がいやらしい笑みを浮かべてわたくしの全身をねっとりと眺めてくるではないか。
その瞬間わたくしの身体はあまりの気持ち悪さに拒否反応を起こして鳥肌が一気に立ってくるのが分かる。
「それで、エルフの嬢ちゃんは見た感じ魔術師じゃないみたいだけど、エルフにしては珍しいな。 まぁ、俺からすれば魔術を使われた方が厄介だから楽でいいんだけどな」
「あら? わたくしは魔術師ですわよ?」
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